2021年11月、大阪市此花区にある物流倉庫で火災が発生しました。
6階建ての大きな倉庫で3万8000平方メートルが焼け、消火までになんと5日間もかかりました。
どれだけ大きな被害になったかは想像に難くありません。
他にも多くの倉庫火災の事例があります。
小さい倉庫であれ、大きな倉庫であれ、火災が発生すれば会社にとっては大きな痛手となります。
そこで、倉庫は火災対策に力を入れるべきです。
火災が起きる原因に対して事前に対策をしておけば火災が発生する確率を大きく下げることができるでしょう。
また、万が一、火が上がってもすぐに消火できれば被害を最小限にできてすぐに立て直すことができます。
倉庫が火事を予防する方法はたくさんあります。
きちんと導入しているつもりでも不十分だったり、従業員に浸透していなければ意味がありません。
そこで、定期的に火災対策について振り返ることが大切です。
今回はよくある倉庫火災の原因や、倉庫がすべき火災対策の方法をご紹介します。
火災が起こる可能性を徹底的に減らしたい、きちんと対策ができているか自信がないという方はぜひ最後までご覧ください。
倉庫が火災に備えるべき理由6つ
火災が起こることは滅多にないため、普段は火事への対策をあまり考えていないという方もいるでしょう。
しかし、火事は企業に大きな被害をもたらし、場合によっては再起不能になることも十分考えられます。
そこで、まずは倉庫が火災にしっかり備えるべき理由をまとめました。
火が広がりやすい環境だから
倉庫は火が広がりやすいことを知っておかなくてはいけません。
倉庫には段ボールなどたくさんの燃えやすいものが置かれています。
しかも、大量にあるため、次々と火が移りやすいです。
そのため、一度火が上がるとあっという間に広がって、社内の人間だけでは対処できなくなることも考えられます。
だからこそ、倉庫は火災が発生しないように対策しておくことが大切なのです。
開口部が少ない
外から見ると分かるように、倉庫は窓やドアなどの開口部が少ないです。
そのため、消防隊が放水しても、建物の内部で火が上がっていると水が届きにくく、効果が薄れます。
また、建物内に入るのに時間がかかるというデメリットもあります。
大阪市の物流倉庫の消火活動に5日間を要したのもこういった事情があるからかもしれません。
このように、建物の構造の点においても倉庫には欠点があることを覚えておきましょう。
出火しても気付きにくい
広い倉庫では人気のないところで物が燃えていてもなかなか気づくことができません。
また、小さい倉庫でも保管用などあまり人が居ない倉庫では火災が発生しても気付きにくいでしょう。
火事は初期消火をすれば被害を最小限にすることができますが、こういったケースでは気づく頃には火がかなり広がっているでしょう。
人が居ないスペースが多い倉庫では特に火事に気をつけるべきです。
従業員の命が危ないから
倉庫に限らず火事対策が大事なのは人の命が関わるからです。
残念なことに過去には倉庫火災によって命が奪われたケースがあります。
また、煙を吸ったことで健康被害が出た人も居ます。
会社にとって大切な従業員を守るためにも日頃から対策を徹底しましょう。
損失が大きいから
倉庫が焼けると様々な損失が発生します。
保管していた製品が燃えてロスになるのはもちろんのこと、物流がストップすることで本来あるはずだった売上も無くなってしまいます。
当然、経営には大打撃となり、企業の存続までも揺るがしてしまいます。
取引先や顧客に迷惑をかけるから
製品が燃えてしまうと、取引先や顧客には注文した商品を届けることができず、迷惑をかけてしまいます。
火が届いていないエリアにあった製品も、煙の臭いが染み付いたり、一時的に高温になったりしたことで出荷できないケースもあるでしょう。
火災のせいで出荷できないと伝えれば、仕方がないと理解してもらえると思いますが、企業に対する信頼は損ねてしまうでしょう。
すると将来の取引にも影響が出るため、火事は起こさないに越したことはありません。
倉庫火災のよくある原因3つ
適切に火事への対策をするためには、そもそも何が原因で火災が発生するのかを知っておくことが大事です。
そこで、次に火災のよくある原因を3つご紹介します。
電気機器
倉庫火災の原因として多いのが電気機器です。
電気コードを曲がったり、巻かれたりしたまま使用したところ高温になり発火した、コンセントに溜まっていた埃が発火した、タコ足配線によって過熱になったなど様々なケースがあります。
電気機器は間違った使い方をしていても、それが当たり前になっていることが多く、なかなか気づかれないものです。
そこで、定期的に適切な使い方がされているかを見直す必要があります。
タバコの不始末
タバコもよくある原因の1つです。
きちんと火を始末せずに放置することで周りに火が広がり、火災に繋がることがあります。
喫煙者には特に注意喚起を行うべきです。
保管製品の自然発火
保管している製品が火災の原因になることがあります。
特に自然発火の可能性があるものは空気に触れたりするなど、あるきっかけによって火が発生します。
こうしたものは適切な管理を徹底することが求められます。
管理している荷物の特性を今一度確認しておくのがおすすめです。
倉庫が火災に備えてすべき対策5つ
火事は倉庫に大きな損害を与えるものだからこそ、発生しないよう、また、発生しても被害をできるだけ小さくできるよう対策が必要です。
最後に倉庫がしておくべき火災対策をご紹介します。
全てできているか確認してみてください。
防火設備のこまめな点検
倉庫内には様々な防火設備があるはずです。
しかし、設備があるからといって安心してはいけません。
なぜなら、きちんと作動しなければ意味がないからです。
例えば、スプリンクラーがあっても火を検知して動かなければ消火に時間がかかりますし、防火シャッターが降りなければ火は広がってしまいます。
そこで、定期的に倉庫内の防火設備が作動するか点検しましょう。
防火シャッターの下に物を置かない
防火シャッターは完全に下まで降りなければ役割を果たしません。
あなたの倉庫では防火シャッターの下に物を置いていませんでしょうか?
もし置かれていたら万が一のときにシャッターが下りず、火事の被害を拡大してしまうでしょう。
そこで、シャッターの位置を改めて従業員全員で把握し、付近に物を置かないようにしましょう。
うっかり置いてしまわないよう、周りにテープなどで印をつけておくと良いでしょう。
倉庫内を禁煙にする
タバコの不始末による火災を予防するには倉庫内を完全に禁煙にするという方法があります。
最近では敷地内で禁煙を徹底している施設が増えていますよね。
もし、完全に禁煙にするのではなく、喫煙エリアを設ける場合はそれ以外の場所ではタバコを吸わないよう徹底して指導しましょう。
定期的に消火・通報訓練を行う
火災対策として訓練はとても重要です。
なぜなら、火災発生時には初動がとても大事だからです。
火の広がりを最小限に留めるためには消火訓練と通報訓練を徹底しましょう。
消火訓練を通して、消火器の場所や使い方を把握しておけば、いざという時にすぐに対処できます。
また、通報訓練をして、スムーズに119番通報ができるようにしておけば、すぐに消防隊が駆けつけ、消火までの時間を短くすることができます。
定期的に避難訓練を行う
従業員の命を守るために避難訓練も定期的に行いましょう。
避難経路や外へと繋がる場所が分かっていれば、倉庫内で散り散りになっているときに火災が発生しても、それぞれが適切に動いて火災に巻き込まれるのを防ぐことができます。
まとめ
人の命を奪ったり、製品が駄目になったりと倉庫での火災は大きな被害をもたらします。
そこで、倉庫は火災に対して最大限の注意を払い、発生の可能性を少しでも減らす努力が必要です。
今回ご紹介した火災対策をぜひ取り入れて、安心して作業ができる環境を作りましょう。
経営陣や責任者だけでなく、現場で働く従業員にも意識や対策を浸透させることがポイントですよ。