建物の地震対策まとめ〜何をすればいいの?編〜

建物の地震対策について記載しました。
新築の場合から既に建てられている建物まで、地震対策をまとめていました。

鉄骨造の耐震度は?

まず、現行の建築基準法では、どの構造の建物であったとしても震度6強から震度7程度の地震に耐えられるよう基準が定められています。
つまり、基準を満たす建築ならば、地震対策がされていると言えます。

骨組に鉄製や鋼製の部材を用いる鉄骨造の建物は、鉄や鋼の「粘り」によって地震に耐える構造です。鉄骨は、地震で力が加わったとしてもその粘りによってしなり、変形するため地震のエネルギーを吸収します。
このため、倒壊しにくく、また倒壊するとしても倒壊するまでには時間がかかると言えます。

ただし、重量があるため地震の場合に感じる揺れは大きくなります。また、鉄骨は摂氏540℃で急激に強度が失われる性質を持つため、揺れ自体には強いですが、地震で火災が起きた場合には倒壊する危険性があります。

免震・制震・耐震の違い

免震とは

建物と基礎との間に積層ゴムなどの免震装置を設置し、地盤と切り離すことで建物に地震の揺れを直接伝えない構造です。
地表面の揺れが直接伝わらないため、家具の転倒も少なくなり、室内での被害を大幅に減らせます。

縦揺れには弱いといわれていましたが、最近になって三次元免震装置が開発され、縦揺れにも対応できるようになりました。
しかし、家の基礎や土台から作り替える必要があるので、工事は大規模になり、設置費用も高額になります。
また、住宅が密集している土地や狭い土地では利用が難しい場合や、軟弱地盤や液状化の恐れのある地盤には向かない場合があります。

制振とは

建物内部にダンパーなどの制震部材を組み込み、地震の揺れを吸収する構造です。
上階ほど揺れが増幅する高層ビルなどの高い建物には、非常に有効な技術です。風の揺れにも効果的です。

建物内で感じる揺れは耐震構造とそれほど変わりませんが、主体構造が受ける損傷は制振部材に限定されます。しかし、耐震のように後付けは難しく、新築時やフルリノベーションの時に制振構造にする必要があります。

耐震とは

太く頑丈な柱・梁で建物自体が地震の揺れに耐える構造です。制振構造や免震構造に比べて、後付けが簡単で、設置費用がそれほど高額でないため、多くの住宅で採用されています。
しかし、地震のエネルギーが直接建物に伝わるため、制振構造や免震構造に比べて、地震の揺れ等で壁や家具の損傷を受けてしまいます。

そのため、地震後の居住に耐えられなかったり、建物自体の資産価値が無くなったり、壁や転倒した家具の下敷きになったりする可能性があります。

新築の時に出来る対策は?

免震構造・制震構造・耐震構造にする

前述した免震・制振・耐震。それぞれのメリット・デメリットを考慮した上で、建物の構造に組み込みます。
免震構造や制振構造は後付けが難しいため、新築の時に組み込んでしまうことをお勧めします。

耐力壁

耐力壁とは、建築物において、地震や風などの横からの力に抵抗する能力をもつ壁のことです。
柱と梁が強固に一体化しており、接合部が非常に高い剛性をもっているため、基本的には柱と梁だけで地震や風などの水平荷重に抵抗することができます。

それでもなお耐震性能が足りないときに、耐力壁が部分的に用いられます。
鉄骨造における耐力壁は、ほとんどの場合、H型鋼または山型鋼を、Xの字型またはVの字型にフレームに組み込んだ、筋交い方式の耐力壁を使用します。

使用する鉄骨は、太いほど性能が良くなりますが、両端部の接合、特に溶接も太さに応じて大変厳しいものとなります。一般的に、面積・階数の大きい建物や重い建物ほど、多くの耐力壁が必要になります。

逆に、より太い柱と太い梁を用いることにより、必要な耐力壁は少なくできます。そして、耐力壁はバランスよく配置すること、各階において縦方向に連続するように配置することが重要です。

既存の建物に出来る対策は?

壁を増やして補強する

壁を増やして補強する方法は、最も簡単で効果の大きい方法です。
耐震性に優れたコンクリートの壁をバランスよく配置することで建物の耐震性能は大きく向上します。
しかしながら、壁を増やすことにより建物の使い勝手が悪くなることが多いため、他の工法と併用して使われます。

外部にバットレスを増設する補強も「壁を増やして補強する」工法の一種です。
敷地に余裕がある場合、内部の使い勝手を悪くせずに補強する方法として効果があります。また、内部にコンクリートの耐震壁を増設する場合、鋼管コッター工法がよく用いられます。
鋼管コッター工法を使うと、既存のコンクリートを削ったり、ドリルで穴を開けたりするといった騒音や振動が大幅に低減されるため、建物を使いながらの工事が可能になります。

耐震壁の増設方法にも意匠的な工夫をした形状が開発されています。UFCブロック耐震壁は通風、採光が可能でデザイン性にも優れた耐震壁です。エントランスホールなどでも美観を損なうことなく耐震補強工事が可能となります。

ブレースを増やす

壁を増やすことにより空間が遮られることを回避する代替策として鉄骨ブレースが用いられます。

ブレースとはいわゆる筋交のことで、柱と梁に囲まれた面に斜めに材を渡して水平力に対抗します。
ただし筋交のある面を一定間隔で配置しなければならないので、室内に配置してしまうと、鉄骨造の長所である大空間構造が失われてしまうので、注意が必要です。

建物のフレーム(柱・梁)の内側に取り付ける方法と、建物フレームの外側に取り付ける方法があります。ブレースと、建物のフレームを強固に接合するために、鋼管コッター工法が使われます。

柱に鋼板を巻く

既存の柱に補強として鋼板を巻く方法があります。柱や梁を補強することにより建物のねばりが増し、倒壊しにくくなります。

免震構造に替える

既存の建物を免震化することを免震レトロフィットといいます。歴史的な価値を認められた建造物の多くは、免震技術などない時代に建てられたものなので、それらの保存のために免震レトロフィット工事が行われています。

ただし、躯体をジャッキアップしてアイソレータなどの免震装置を設置し、場合によっては周囲を掘り下げて基礎に手を加えるなど、多大なコストがかかります。
また、免震装置は積層ゴムと金属ダンパーの組み合わせや、メカニカルなスライダー方式など多岐にわたっています。

経年劣化による耐震度は?

何度も地震を経験したり、建ててから時間が経ったりすれば、それだけ柱や壁に疲れが溜まります。
このように時が経つにつれて性能や機能が低下することを経年劣化と呼びます。

鉄骨造の建物の経年劣化は、主に鋼材の 「錆び」による強度の低下のことを指します。 錆びが起こる原因は、湿気や内部結露などの水分によるものが考えられます。
鋼材の強さは、錆びによって低下します。 鋼材の厚さの1%が錆びると強度は5~10% 低下し、厚さの10%が錆びると強度が半分ほどに低下すると言われています。

設計時から湿気や水分への対策をしっかりと計画することが重要となります。鉄骨造の耐用年数は34年(軽量鉄骨は19年)となっています。耐用年数は建物の寿命ではありませんが、この数字を目安に補修や改修を行っていくとよいと思われます。

鉄骨建設の鉄の錆び補修対策と手順について

 

まとめ

いかに建築基準で耐震が保証されているといっても、地震大国日本ですから、心配はつきません。
どこまで耐震構造を追加するのか、どこまで室内空間やデザインを確保するのか、建設会社と相談しながらそれを考えるのも建築主の楽しみとも言えるのではないでしょうか。

近年、災害による被害が増えつつあります。今回は主に耐震についてお話ししましたが、地震だけでなく、火災、洪水、土砂災害などの災害はいつも突然やってきます。
いつ自分が巻き込まれるか分かりません。

テレビなどで流れるニュースも他人事ではないのです。せっかく建てた工場や倉庫が、中の資材もろとも失ってしまうという悲しい事態にならないために、今一度、耐震や耐火などについて考えていきたいですね。

建設のお問合わせやご質問募集

当社では4000件以上の建設実績があります。設計・デザイン・施工・管理まで90年以上に及ぶノウハウがあります。
建設に関するお悩みや気になることやご相談はこちらよりお気軽にご相談くださいませ。

多くの方に良い情報を届けさせていただきますので、ぜひ、鉄骨建設ナビを宜しくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です