この記事ではこんなことをまとめています。
・ 目視検査のメリット・デメリット
・ 目視以外の外観検査の方法2つ
工場が外観検査を導入する上で知っておくべきことをまとめました。
工場の目視検査の精度を上げる方法8つ
この章では工場が目視検査の精度を上げるためにできることをまとめました。
1 | 検査場の照明を明るくする |
2 | 外観検査に集中できる環境を作る |
3 | 適切な人数で目視検査を行う |
4 | こまめに休憩を入れる |
5 | 基準書は定期的にアップデートする |
6 | 検査のフィードバックをする |
7 | スピードの速さを求めない |
8 | 見逃した異常を共有する |
検査場の照明を明るくする
外観検査の精度は照明によって左右されます。
照明が暗すぎると小さな損傷や汚れを見逃す可能性があります。
そこで、検査場では検査しやすい明るさを保ちましょう。
電気が切れそうなときは早めに対処するのも大切です。
外観検査に集中できる環境を作る
人間による作業の精度を保つにはスタッフが集中できる環境を作ることが大切です。
製造の音がうるさかったり、立ちっぱなしで疲れやすい環境だったりすれば、集中力が下がりやすくなります。
目視検査を行うなら、従業員が快適に作業できるように工夫しましょう。
適切な人数で目視検査を行う
目視検査には適切な人数を充てましょう。
人員が少なすぎると、忙しくなり、1つ1つの確認が適当になってしまったり、従業員のモチベーションが下がってしまったりして、作業の精度が下がります。
ただし、反対に人数が多すぎると人件費がかかり、運転資金を圧迫してしまうので、適切な人数を追求することが大切です。
こまめに休憩を入れる
疲れが溜まると人間の集中力は大きく下がります。
そこで、目視検査を行うスタッフにはこまめに休憩を取るように指示しましょう。
わずかな時間でもリフレッシュすることで、勤務時間は長くても常に集中して取り組むことができます。
基準書は定期的にアップデートする
外観検査では判断の基準となる基準書を作りますよね。
基準書で検査基準を明確にしておけば、人によって判断基準が異なることを防げます。
基準書をさらに活かすためにはこまめにアップデートするのがポイントです。
書類を作ってから判断基準が変わったり、追加で覚えるべき事項が増えたりするのはよくあることです。
もし、アップデートしなければ、新しく入ってきた人に追加の事項が伝わらず、見逃しが発生してしまいます。
そこで、外観検査の基準書は定期的にアップデートしましょう。
検査のフィードバックをする
従業員の検査に対する意識を高めるにはフィードバックが効果的です。
具体的には、1日の検査数のうち、どれくらい正確に判断できていたかを本人に伝えるようにすれば、身が引き締まるでしょう。
検査精度が高かった人を表彰する制度を設けたりすれば、さらにモチベーションが上がりそうです。
スピードの速さを求めない
工場では生産効率を上げるために、作業スピードを上げることを重視しがちです。
しかし、外観検査でスピードを求めすぎてしまうとマイナスに働くケースがあることを覚えておきましょう。
上からもっと速く検査することを求められれば、現場のスタッフは急いで作業にあたるようになり、丁寧に製品の状態をチェックできなくなってしまいます。
すると、検査精度は下がるでしょう。
無駄な作業を削り、作業スピードを上げるのは企業にとって大切なことですが、外観検査ではスピードを求めすぎないようにしましょう。
見逃した異常を共有する
もし、目視検査で異常の見逃しがあったら、スタッフに共有しましょう。
見逃しやすい異常だと分かれば、検査の際により慎重になり、同じミスを防ぐことに繋がります。
工場が目視検査を行うメリット・デメリット
この章では目視検査のメリット・デメリットをご紹介します。
メリット | 1 | 検査の精度が高い |
2 | 柔軟に対応できる | |
3 | 導入費用がかからない | |
4 | 検査と並行して他の作業もできる | |
5 | 他の感覚でも検査できる | |
デメリット | 1 | 効率が悪い |
2 | 異常を見逃すことがある | |
3 | 人によって検査の精度が変わる | |
4 | 人件費がかかる |
メリット
検査の精度が高い
人間の目による検査のメリットは精度の高さです。
機械では確認できないところにある傷や汚れに気づくことができます。
また、少し異常があっても、問題ない範囲なら取り除くことはしません。
複雑な判断ができるのが人間による作業の強みですね。
柔軟に対応できる
ちょっとした融通が利きやすいのも目視検査の強みです。
例えば、外観検査の基準が追加されたとき、スタッフに伝えるだけですぐに作業に反映することができます。
一方で、機械で検査をするときは、データを追加するまで対応はしません。
外観検査は製品の種類によって基準が異なるので、柔軟に対応できるのは便利です。
導入費用がかからない
目視検査にはコスト面でもメリットがあります。
工場での外観検査は機械に任せることもできますが、新しく画像処理センサーなどを導入するには多額の費用がかかります。
一方で、目視検査の場合は今居るスタッフを活用すれば費用をかけずに始められます。
検査と並行して他の作業もできる
人間が外観検査を行えば、製品を確認するだけでなく、他の作業も同時に行えます。
例えば、製品にゴミがついているのが分かったとき、その場で取り除きます。機械の場合は異常を発見するだけなので、回収は人間が行います。
他の感覚でも検査できる
人間は見ること以外でも製品をチェックすることができます。
人間には五感があるので、匂いがおかしかったり、手にとって違和感があったりすれば、異常に気づくことができます。
そのため、見た目はおかしくなくても異常がある製品も弾くことができます。
デメリット
効率が悪い
目視検査のデメリットの1つは効率の悪さです。
機械による外観検査では一度に多くの製品の状態について判断することができます。
一方で、目視の場合は1人1つずつしか検査できないので、効率は低くなってしまいます。
異常を見逃すことがある
目視検査は人間による作業なので、異常を見逃す可能性があります。
例えば、疲れていて集中力がないせいで異常に気づかなかったり、そもそも検査をし損ねたりすることが考えられます。
ロボットではないので仕方がない部分もありますが、出来るだけ完璧に近い作業ができるよう、対策をする必要があります。
人によって検査の精度が変わる
人によって判断の仕方が変わることも考慮しなくてはいけません。
何年も検査に携わっている従業員は回数をこなしているので、どのように見たら検査しやすいか、見逃しやすい異常は何かといったことを知っており、検査の精度は高い傾向にあります。
一方で、新人スタッフは経験が浅いので、見逃したり、本当なら検査で引っかかる異常を問題ないと判断したりすることがあります。
外観検査の質を上げるにはスタッフの判断基準を一律にすることが欠かせません。
人件費がかかる
先ほども説明したように、目視検査には導入費用がかかりません。
しかし、人件費がかかるというデメリットはあります。
工場によっては多額の費用をかけてもロボットを導入した方が長い目で見て費用が浮くかもしれません。
目視以外の外観検査の方法2つ
外観検査には目視以外にも2つの方法があります。
画像処理ソフトによる検査
製品を画像によって処理し、あらかじめ設定したデータをもとに不良品かそうでないかを判断します。
人間による検査よりも多くの製品をスムーズに検査することが可能です。
ただし、データで設定されていない異常は検出することができません。
AIによる外観検査
外観検査はAIによっても行うことができます。
AIは様々なデータを読み込むことで自動で判断基準を作るため、あらかじめ設定していない異常でもAIの判断によって検知されることがあります。
目視以外の外観検査を導入するメリット・デメリット
この章では画像処理ソフトやAIを使って外観検査を行うメリット・デメリットをまとめました。
メリット | 1 | 人手不足の解消 |
2 | 質が一定 | |
3 | 夜でも稼働できる | |
デメリット | 1 | 初期費用がかかる |
2 | 誤検出が出ることも | |
3 | 見分けられない異常があることも |
メリット
人手不足の解消
機械に作業を任せると必要な人員が減り、人手不足の解消になります。
工場での仕事についてきついというイメージを持っている人が多いせいで、採用が上手くいかず悩む工場は少なくありません。
しかし、ロボットを導入すればこうした課題も解決します。
人材不足に悩む企業は積極的にロボットを活用しましょう。
質が一定
画像処理ソフトやAIによる外観検査は質が一定になるという魅力があります。
目視検査のように人間の集中力や、スタッフの能力によって、判断基準が変わるということがありません。
製品の質が一定であれば、取引先や顧客から信頼されます。
夜でも稼働できる
ロボットによる作業は昼間はもちろんのこと、夜も行えるという強みがあります。
一方で、人間は1日の労働時間が決められており、原則として1日8時間以上は働くことができません。
そのため、ロボットの方が1日に検査できる数はかなり多いです。
デメリット
初期費用がかかる
ロボットを導入するデメリットといえばやはりイニシャルコストがかかることです。
どのような機能をつけるか、どのような規模で行うかといった条件によって費用は変わりまずが、大抵の場合は決して安い金額ではありません。
ただし、人件費が浮いたり、検査効率を高められたりするメリットはあるので、導入する価値はあります。
誤検出が出ることも
完璧に思える機械による作業でも、やはりミスはあります。
例えば、不良品の判断基準として設定されていない異常がある製品は検査で引っかかりません。
反対に、本当は正常な製品にも関わらず、異常だと誤検出されてしまうケースも考えられます。
ロボットだからといって完全に信頼しないことが大切です。
見分けられない異常があることも
ロボットでは見分けられない異常があります。
例えば、画像センサーから見て裏側に損傷があるとき、画像処理できずに見逃すことがあります。
そこで、検査機械を導入する際は検出すべき異常をきちんと見極めることが可能かどうかを業者に聞きましょう。
まとめ
工場での外観検査には次の3つの方法があります。
- 目視検査
- 画像処理ソフトによる検査
- AIによる検査
それぞれメリット・デメリットが異なるので、それぞれの特徴を知った上で導入しましょう。
また、デメリットを補うように対策をすることも大切です。