工場に新しい機械や設備を導入するとき、購入する以外にも方法があります。
それはリースです。
リースとは導入したい物件をリース会社に購入してもらい、それを借りて、毎月利用料を払いながら使うというシステムです。
物件の所有権はリース会社にありますが、購入した場合と同じように設備を使うことができます。
それなら同じようなものなのではないかと思う方もいるかもしれませんが、リースならではのメリットがあるんです。
例えば購入する場合、一度に多くの費用がかかりますが、リースなら毎月少しの利用料を払うだけで済みます。
もし、今までリースを利用したことがないのであれば、新しい設備導入の方法として知っておいた方が良いでしょう。
そこで今回は、工場の機械や設備をリースで使うメリット・デメリットやリースを利用する流れなどをご紹介します。
会社の運転資金に余裕をもたせたい、リースの利用を検討しているという方はぜひご覧ください。
工場の機械や設備を導入する際に使えるリースとは
利用者が選んだ設備や機械をリース会社が代わりに購入し、利用者に貸与する仕組みのことです。
購入する場合と違って、所有権はリース会社にあり、借りている間は月々リース料を支払うことになります。
リースの2つの種類
リースにはファイナンスリースとオペレーティングリースの2種類があります。
それぞれどのような違いがあるのか解説します。
ファイナンスリース
ユーザーが指定した物件をリース会社が代わりに購入し、その購入費用を月々のリース料によって支払うものです。
一般的にリースという言葉はこのファイナンスリースのことを指す場合が多いです。
リース料には購入コストの他に、損害保険料や固定資産税分の料金も上乗せされているため、支払う総額は購入した場合に比べて少し高くなります。
また、最初に行った契約は途中で解約することができないのも特徴です。
ファイナンスリースにはリース期間終了後に所有権が利用者に移る「所有権移転ファイナンスリース取引」と、契約が終わっても所有権は移転しない「所有権移転外ファイナンスリース取引」の2種類があります。
オペレーティングリース
こちらはファイナンスリース以外のリースを指す言葉です。
具体的には、リース期間が終わった後も市場価値が残ると見込まれる物件を購入する場合に行われます。
リース料は購入金額に金利などの諸費用を加えたものから、リース終了後の物件の価値を引いた金額をもとに計算されるため、支払う総額は購入する場合に比べて安く済みます。
工場の機械や設備をリースで使うメリット4つ
リースで工場の設備を新しく導入すると様々なメリットが得られます。
購入する場合と比べてどちらの方が自社にとってメリットがあるか考えてみてください。
一度に多くの資金を用意する必要がない
リースの大きなメリットといえばやはり購入金額を一度に払わなくて良いことです。
特に製造に使う機械は種類によってはかなりのコストになります。
一方で、リースの場合は契約で決められた利用料を月々払うため、まとまった支出はなく、運転資金に余裕ができます。
まだ立ち上げたばかりであまり資金がない企業にとっても嬉しいですね。
購入した機械と同じように使える
リースで導入した物件の所有権はリース会社にあります。
それでも購入した物件と同じように扱えるため、リースだからといって不便なことはほとんどありません。
契約終了後の所有権はユーザーに移る場合もあれば、リース会社がそのまま保有する場合もあるので、契約内容をよく確認しておきましょう。
常に最新の機器を利用できる
工場で利用する機械は最新モデルが出て、使っているモデルが旧式になってしまうことがよくあります。
しかし、リースなら最新モデルが出る時期を見越して契約期間を決めることで、常に最新の機械を使うことが可能になります。
上手く利用すれば作業効率を高め続けていくことができるでしょう。
リース料が全額経費になる
経費の面でもメリットがあります。
新しい設備や機器を購入する場合、減価償却分しか経費になりません。
一方で、リースなら月々の利用料を全て経費として計上できます。
また、減価償却の計算などの事務処理をする必要がなくなるのも嬉しいですね。
工場の機械や設備をリースで使うデメリット3つ
運転資金に余裕ができる、リース料金を全て経費にできるといったメリットがあるリースですが、一方で、デメリットもあります。
購入するか、それともリースにするのか、適切な判断ができるよう、欠点についても知っておきましょう。
購入するより費用が高くなることも
ファイナンスリースというタイプのリースの場合、リース代には購入費用だけでなく、金利、損害保険料、固定資産税などにかかる費用も含まれます。
そのため、リース会社に対して支払う額の合計は、自社で購入した場合よりも高くなります。
そのため、リースを利用する際は会社にとってどんなメリットがあるか明確にしてから契約するのが望ましいです。
契約に手間がかかる
後からも説明しますが、リースでは購入して欲しい設備をリース会社に伝えたり、リース契約を結んだりと、購入する場合と比べて色々な手間がかかります。
途中解約ができない
リースを利用するときに覚えておかなくてはいけないのが中途解約できないことです。
もし、リース期間中にどうしても解約したい場合は残りのリース料金に相当する額を支払わなくてはいけません。
そのため、リース契約を結ぶ際には期間中ずっと利用する物件なのかどうかを真剣に考える必要があります。
工場がリースで利用できる製品の種類3つ
リースで設置できる製品は色々な種類があります。
具体的にどんなものでリースが利用できるのかぜひ知っておきましょう。
機械
工場では製造に使う機械やロボットをリースで利用することができます。
こうした機器は種類によっては非常に高額なものもあり、一括で払おうとすると会社の運転資金に余裕がなくなることもあるでしょう。
上手くリースを利用して、製造に役立つ機械を導入したいですね。
情報機器
パソコンやプリンターなど情報機器のリースも可能です。
工場でもこういった設備は必要不可欠ですよね。
機械に比べると購入しやすい金額ですが、リースの方が合っている場合もあるかもしれません。
輸送機器
フォークリフトなどの輸送機器もリースで導入できます。
大きな製品や重い製品の移動が行われる工場ではぜひリースを使って導入することも選択肢として考えておきましょう。
工場がリースを利用するときの流れ
リースを利用する際の具体的な手順をご存知ない方も多いと思います。
そこで、最後にリース利用時の流れを簡単にご紹介します。
購入する製品の決定
ファイナンシャルリースはユーザーが欲しい設備を決めるところから始めます。
そこで、何をリースで導入したいのか決めましょう。
メーカーによっては実際に製品を見たり、試運転したりする機会を設けているところもあるので、ぜひ活用しましょう。
リース会社へ購入を依頼
物件が決まったら、利用したい旨をリース会社に伝えます。
このとき、リース会社は製品を購入するか、ユーザーとリース契約を結ぶかといったことを審査して決めます。
リース会社と契約
審査に通ったら、リース会社と契約を結びます。
リース期間、利用料金、条件などをよく確認しておくことで、後にトラブルが発生するのを防ぐことができます。
リース会社が製品を購入
契約が締結されてからリース会社はユーザーが希望した物件を購入します。
購入した物件は工場など指定の場所へ納品されます。
リース契約開始
物件が納品されたら、リース期間が始まります。
原則として中途解約ができなので、契約期間終了まで物件を利用することになります。
リース終了後に所有権がユーザーに移転する条件の場合は契約満了とともに設備を所有することになります。
一方で、所有権の移転がない場合は、期間終了後にまたリース料を支払いながら利用するか、返却するかを決めることになります。
まとめ
リース会社に代わりに物件を購入してもらい、それを料金を支払いながら利用する仕組みをリースと呼びます。
自社で購入する場合とは違ったメリット・デメリットがあります。
購入するか、リースで使うかどちらがいいかは場合によって異なるので、新しい設備を導入する際はどの方法が一番適しているかよく検討しましょう。