倉庫の建築方法には様々な種類があります。
それぞれ工期の長さや耐久性などあらゆる点で違いがあるため、新しく倉庫を建てるなら目的やニーズに合う建築方法を選ぶ必要があります。
倉庫の種類の1つとして有名なのがテント倉庫です。テント倉庫とは普通のテントのように、骨組みを作ってその上からシートを覆って完成させるものです。
このようにかなりシンプルな造りなので、一般的な建物とは違った特徴が多くあり、使用する上で気をつけなくてはいけない点もいくつかあります。
そこで今回は、テント倉庫の特徴やメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
これから新しく倉庫を建てようと考えている方はぜひ参考にしてください。
短工期・低コストが魅力のテント倉庫とは
テント倉庫は軽量鉄骨で骨組みを作り、その上からシートをかぶせることで作られる倉庫です。
このシートは膜と呼ばれることもあります。名前にあるように、テントのような造りになっています。
一般的な建築に比べると非常にシンプルな造りですが、物を保管するには十分の強度があり、倉庫としてよく使われます。
テント倉庫は工期の長さやコスト面で特に優れているのが特徴です。
テント倉庫の主な種類3つ
テント倉庫にはいくつか種類があります。基本的な構造はどれも同じですが、細かい点が異なり、特徴も違います。
そこで、テント倉庫の主な3つの種類をご紹介します。
閉鎖型
基本はこの閉鎖型です。
その名の通り全ての面がシートで追われているため、一般的な倉庫として使うのに向いています。
風の通り道がないことから建物内に熱がこもりやすいので、エアコンなどで温度調整をしたり、夏場に作業するときには熱中症にならないよう、こまめに水分を補給したりと対策が必要です。
側面開放式
全面がシートで覆われているのではなく、一部の面が開放されている、もしくは全ての側面にシートがなく、上屋テント式になっているものもあります。
外から中、中から外へと移動がしやすいので、荷物をたくさん運ぶときには非常に便利です。また、閉鎖式とは違って熱が中にこもりにくいのがメリットです。
ただし、雨の日や風が強いときに影響を受けやすいのが難点です。そこで、開放されている部分にカーテンをつけ、開け閉めできるようにすると便利です。
伸縮式
テント倉庫には建物自体が伸び縮みするものもあります。
ジャバラの骨組みを作ることで伸縮することが可能になっていて、必要なときには建物をコンパクトにすることができます。
例えば、大きな車を使って荷物を運搬したり、クレーンで物の出し入れをしたりするときに小さく畳んだ状態にすれば、楽に作業をすることができます。また、使用しないときには折り畳むことでスペースを空けることもできます。
移動式
倉庫自体にキャスターがついていて建物を自由に移動させることができるタイプのテント倉庫もあります。
こちらも荷物の運搬がしやすく、さらには気軽に設置場所を変えることができます。
テント倉庫のメリット7つ
テント倉庫は一般工法やシステム建築など、他の建築方法にはないメリットがたくさんあります。
ニーズに合った倉庫を建てるためにもテント倉庫にどんなメリットがあるか把握しておきましょう。
短工期
まず、テント倉庫の大きなメリットは短い期間で工事が終わることです。基本的には鉄骨を組み立てて、その上からシートを張るという単純な作業なので、他の建築方法に比べると工期は短いです。
そのため、建設計画を始めてから比較的すぐに使い始めることができます。出来るだけ早く倉庫が欲しいという場合には非常に便利です。
低コスト
工期が短いということはそれだけ人件費が浮くので、コストも安くなります。
また、構造がシンプルなので、必要な部材が少なく、材料費が浮くことも低コストになる要因の1つとなっています。
倉庫は規模にもよりますが、1つ建てるのにかなりの費用がかかるのが一般的なので、少しでも建設費が安くなるのは嬉しいですよね。
修繕しやすい
テント倉庫の膜を見るとこれで本当に内部を守れるのか不安になるかもしれません。しかし、膜材は意外に丈夫なので基本的には問題ありません。
さらに、テント倉庫の膜には修繕しやすいというメリットがあります。例えば穴が開いたり、破れたりしてもシールを貼るだけで簡単に直せます。
増設しやすい
テント倉庫は造りがシンプルなので、もっと広くしたいという要望にもすぐに対応することができます。
一般的な建築では増設をすると大掛かりな工事になることが多いですが、テント倉庫なら比較的簡単な工事で終わります。
また、増設は立地条件や構造上の問題で出来ないケースもありますが、テント倉庫の場合はこうした事態が起きにくいです。
解体しやすい
建物の解体は時間もコストもかかってしまうのが一般的です。
しかし、テント倉庫はシートを剥がし、鉄骨の骨組みを解体するという作業で終わるので、他の建築物に比べると解体がしやすいという特徴があります。
電気代が節約できる
建物を覆うシートの性質上、太陽が出ている間は陽がしっかり差し込み、室内が明るくなります。すると、電気をつける時間が短くなるので、電気代の節約になります。
また、冬には室内が暖かくなることで暖房代を節約できるというメリットもあります。
構造の自由度が高い
テント倉庫はあまり構造にバリエーションがなさそうに思えるかもしれません。
しかし、建物を支える軽量鉄骨はある程度自由に組むことができるため、一般的な四角い建物はもちろんのこと、三角やひし形といった少し変わった形の建物にすることもできます。
テント倉庫のデメリット5つ
コストが安い、工期が短いなどメリットがいくつもあるテント倉庫ですが、一方でデメリットもあります。テント倉庫の建設を考えているなら、欠点について把握しておくことも大切です。
そこで最後に、テント倉庫のデメリットもご紹介していきます。
維持費がかかる
他の工法と比べると建築コストが安いテント倉庫ですが、維持費がかかるというデメリットがあります。
テント倉庫のシートの寿命は10年前後と言われていて、時期が来たら取り替える必要があります。
シートの張替えにかかる費用は1から倉庫を建設する場合に比べると当然コストは低いですが、何度も張り替えを行えばその分かかるコストも大きくなるので、建設する前にこの点を考慮に入れておく必要があります。
高さを出せない
テント倉庫は構造上、高さを出せないという欠点があります。
高くしてしまうと不安定になり、耐久性に問題が出てくるからです。そのため、テント倉庫はあまり高さがない平屋のものがほとんどです。
そのため、2階以上の建物にしたい、天井の高い空間にしたいという場合はテント倉庫よりも、他の建築方法が向いています。
災害の被害を受けやすい
日本は災害が多い国なので、建物の耐久性は非常に重要です。
しかし、テント倉庫は他の建築方法の建物に比べると、豪雨や台風といった災害から影響を受けやすいです。
そのため、台風が通過しやすい地域や降雨量が多いところではテント倉庫ではなく、他の種類の建築物の方が合っている場合もあります。
ただし、テント倉庫は万一シートが飛んだり、破損したりしても、張り替えるだけで元の状態に直せるという強みはあります。
熱がこもりやすい
先ほども説明したように、テント倉庫は太陽の光がよく入るため、室内が明るくなったり、室温が高くなったりするメリットがありますが、一方でこれは熱がこもりやすいというデメリットにもなります。
特に夏は暑さをより厳しくしてしまうので、エアコンを設置したり、室内の空気を循環させるシステムを取り入れたりと、快適に過ごせるようにするための対策が必要です。
管理できる製品が限られている
テント倉庫で物を保管する際にはいくつか気をつけなければいけないことがあります。
まず、テント内は室温が大きく変化するため、温度変化によって傷むものや変形するものの保管には向きません。
また、光がよく差し込むので、色褪せする製品を置くのも避けるべきです。
テント倉庫の環境に合った製品を保管するようにしましょう。
まとめ
テント倉庫とは軽量鉄骨を組み、その上からシートを被せたテントのような倉庫のことです。シンプルな造りなので、工期が短く、コストも安いという嬉しいメリットがあります。
すぐに倉庫が欲しい、一時的に製品を置く場所が欲しい、建物全体を動かせる倉庫にしたいという場合にはテント倉庫はとてもオススメです。