工場ではあらゆる場面で水を使いますよね。
製造に使うのはもちろんのこと、冷やしたり、製品や機械の洗浄に使ったりと使う場面は工場によって様々でしょう。
それだけに毎月の水道代に頭を抱える人も少なくないはず。
水は必要不可欠だから費用がかかるのは仕方がないと思っていませんか?
実は水道代を浮かす方法があります。
それは自家水道システムを取り入れることです。
自家水道とは簡単に言うと地下水を汲み上げて使用すること。
一般的な水道とは異なり、使用するのに費用がかからないので、工場によっては何百万、何千万もの水道代削減を実現できることもあります。
ただし、自家水道を取り入れる際にはいくつか注意点もあるので、メリットだけを見て導入するのは危険です。
そこで、今回は工場が自家水道システムを導入するメリットとデメリットをまとめました。
月々の水道代の負担が大きい工場は特に必見ですよ。
工場の自家水道の仕組み
一般的に水を使うときには上水道を利用しますが、自家水道では地下水を汲み上げて使います。
どのように地下水を確保するかというと、井戸を深く掘り、ポンプで引き揚げます。
その後、濾過した上で利用します。
よく使われる10mほどの深さの井戸とは違い、数十メートルほど掘るのが特徴です。
このあたりの地下水は地表から離れているので、水質や水量が安定しています。
工場が自家水道システムを導入するメリット6つ
上水道から自家水道に切り替えると色々なメリットがあります。
工場が抱える問題を解決することにも繋がるのでぜひ知っておきましょう。
水道代を削減できる
一番大きなメリットはやはり水道代を大きく削減できることです。
業種によっては水を製造過程で大量に使うため、水道代が毎月高額になる工場もあるでしょう。
自家水道は地下水を利用するので、上水道とは違って費用がかかりません。
そのため、導入することで大幅に水道代を下げることができるのです。
初期費用がかからない場合も
自家水道システムを導入するときに気になるのが初期費用ではないでしょうか。
地下水を工場で使うには揚水ポンプや濾過装置など様々な機械が必要で、場合によりますが、費用が数百万、数千万円することも。
ただし、自家水道システムを販売している企業の中には初期費用を全て負担してくれるところもあります。
初期費用がかからない代わりに、毎月利用した水の量に応じて指定の金額を払うという仕組みです。
これなら初期費用を気にせず自家水道を導入することができます。
災害時にも水を確保できる
地震などの災害が発生したとき、水道管が破裂すると修復が終わるまで水を使うことができません。
こうなると工場は製造ができず大きな影響を受けます。
一方で、上水道ではなく地下水を利用している場合は、水道管が壊れても通常と変わらずに水を使えます。
生産活動が要となる工場にとって断水の可能性を減らせるのは大きなメリットでしょう。
また、災害時に水道が使えなくなった近隣住民へ水を提供すれば、近隣と良好な関係を築くことに繋がります。
水道コスト削減のために極端な施策をしなくて済む
水道代に悩む企業はコストを削減するために様々な施策を打ち出します。
しかし、あまりに無茶な対策を強いると社員のモチベーションを下げることになりかねません。
自家水道を導入すれば水道コストを大幅に削減でき、資金面で余裕が出てくるので、会社の士気を下げるような対策をしなくて済みます。
水温が一定
自家水道で利用する地下水は地表から数十メートル離れているところにあるため、水温が一定に保たれるという性質があり、夏には冷たく、冬には温かいです。
そのため、夏に冷却したり、冬に温めたりする際の電気やガスのコストを下げることができます。
自家水道システムは水道代だけでなく、電気代やガス代の削減にも繋がります。
水質が良い
地下水は細菌などが少ないという特徴があります。
さらに、地中の奥深くにあるため、水質が安定しています。
自家水道システムではこれを濾過したり、消毒したりすることでさらに綺麗な水にします。
工場が自家水道システムを導入するデメリット6つ
水道コストの削減になる、断水しにくいといったメリットがある自家水道システムですが、いくつかデメリットもあります。
導入に高額な費用がかかるものだからこそ、デメリットについても知っておきましょう。
下水道代は払わなければいけない
自家水道を利用する上で忘れてはいけないのが下水道代は支払わなければいけない点です。
自家水道はあくまで上水道の代わりとなるもの。
工場内で使用した水を下水道で流す場合は下水道使用料がかかります。
ただし、上水道にかかっていた費用がなくなるだけでも月々の水道代は大きく変わるはずです。
今の水道代の全てを支払わなくてよくなるわけではないことを認識しておきましょう。
停電したら使えない
自家水道システムには揚水ポンプや濾過装置など様々な機器を使用します。
そのため、停電が発生し、これらの機械が使えなくなると地下水の供給も止まってしまう可能性があります。
自家水道システムを導入するなら予備電源があると安心です。
ただし、予備電源がなくても、水道管が破裂したときの復旧にかかる時間に比べれば電気の復旧は早いので、比較的すぐに使えるようになるでしょう。
場所によっては地下水が出ないことも
位置によっては深く掘っても工場で使用するのに十分な地下水が見つからない場合があります。
この場合は自家水道システムを利用したいと思っていても導入を諦めるしかありません。
もし、これから工場を新しく建設する予定で、自家水道システムを利用したいのであれば、地下水が利用できるかどうかも考慮しながら土地探しをすると良いでしょう。
役所の認可が必要
工場が自家水道を導入する際、環境局や水道局などに届け出なくてはいけません。
ただし、このような認可取得は自家水道システムを販売している企業が全て代わりに行い、工場側が手間をかける必要がないことが多いです。
契約をする前に届出はどちらが行うのか確認しておくと安心です。
稼働まで時間かかる
自家水道システムを工場で稼働させるまでには井戸を掘ったり、水質を確認したり、工場や水質に合ったシステムを構築したりとあらゆる手間がかかります。
そのため、依頼してからシステムが実際に稼働するまでに数ヶ月かかることもあります。
早く導入すればするほど浮く水道代も大きくなるので、導入したいなら出来るだけ早く動くのがおすすめです。
ランニングコストがかかる
自家水道を導入するのに必要な費用は初期費用だけではありません。
メンテナンスをしたり、定期的に水質をチェックしたりする必要があるため、ランニングコストがかかります。
ただし、ランニングコストにかかる費用分が月々の使用料の中に含まれていて、メンテナンスや調査の際にまとまった額を支払う必要がない場合もあります。
細かい決まりは会社によって異なるので、初期費用だけでなくランニングコストについても契約前によく確認しましょう。
工場が自家水道システムを導入する前に確認すべきポイント2つ
自家水道システムは工場にとって数百万、数千万する大きな買い物です。
だからこそ導入するかどうかは慎重に決める必要があります。
最後に、購入を検討する際に確認すべきポイントをまとめました。
サポート体制
工場によっては水は製造に必要不可欠なものです。
もし供給が止まってしまえば製造も止めざるを得ません。
だからこそ、サポート体制は必ず確認しておかなければいけないポイントです。
水が出なくなったり、水質が悪くなったりしたときにはすぐに駆けつけてもらえるのか、どれくらいで復旧できるのかといったことをあらかじめ聞いておきましょう。
水道代が削減できるか調べる
今の水道の使用量によっては自家水道を導入してもあまりメリットがない場合があります。
そこで、自家水道を利用することで本当に費用削減に繋がるのか事前に確認しておきましょう。
まとめ
自家水道とは井戸を掘削し、地表から数十メートル離れたところにある地下水を利用するものです。
あらゆる場面で水を使用する工場にとっては水道代を大幅に削減することに繋がります。
ただし、設備の導入にはかなりのコストがかかるので、慎重に検討しましょう。