この記事では次の内容をまとめています。
- 食品工場がすべきカビ対策
- 発生したカビを除去する方法
- 食品工場でカビが発生しやすい場所
食の安全を守るためにカビ対策をしたい企業が知っておくべきことを全てまとめました。
食品工場がすべきカビ対策4つ
この章ではカビの発生を防ぐために食品工場がすべきことをまとめました。
1 | カビが繁殖しにくい環境を作る |
2 | 設備をこまめに掃除する |
3 | 防カビ剤を利用する |
4 | カビの発生を防ぐツールを使う |
カビが繁殖しにくい環境を作る
まず、カビが繁殖しない環境を作ることが大事です。
カビには発生する条件がいくつかあるので、それに当てはまらないような環境を作りましょう。
例えば、温度は0~40度、湿度は65%以上で繁殖しやすいと言われています。
そこで、エアコンや除湿機を使ってカビが繁殖しにくい環境を作りましょう。
0〜40度を避けた温度管理は現実的には厳しいですが、カビが最も活発になるのが25~28度と言われているので、ここを避けるだけでも効果が期待できます。
設備をこまめに掃除する
工場内の設備はこまめに掃除しましょう。
なぜなら、カビが好む養分やカビの元となるものを定期的に取り除くことで繁殖を防げるからです。
工場にはエアコン、換気扇、天井、壁など、カビが発生しやすい箇所がいくつもあります。
そこで、こまめに掃除をするようにしましょう。
防カビ剤を利用する
防カビ剤を使えばカビが発生する確率を低くすることができます。
例えば、カビが発生しやすいところにはカビが発生しにくい素材を使ったり、上から防カビのコーティングをしたりするとカビ対策になります。
ただし、防カビ剤を使ったからといって、絶対にカビが生えないというわけではないので、こまめに掃除をしたり、カビが発生しにくい環境を作ったりと、重ねて対策をする必要があります。
カビの発生を防ぐツールを使う
防カビ剤以外のカビの発生を防ぐツールも活用しましょう。
例えば、カビを吸着するフィルターをダクトの周りなどにつけておけば、今ある設備を変えることなく簡単にカビ対策ができます。
カビを除去する方法3ステップ
この章ではカビを除去する3つのステップをご紹介します。
殺菌する
カビには表面に胞子がたくさんついており、まずはこれを除去する必要があります。
カビにアルコールを吹きかけ、殺菌しましょう。
いきなりカビ本体を取り除こうとすると、カビの元となる胞子が散らばってしまいます。
また、ブラシなどでこすって表面に傷がついてしまうと、さらにカビが発生しやすい環境ができてしまうので、注意が必要です。
本体を除去する
胞子を死滅させたら、次はカビ本体を取り除きます。
ペーパータオルや濡れ雑巾などで、擦らずにしっかりと拭き取りましょう。
このとき、次亜塩素酸を使うと殺菌できます。
乾燥させる
殺菌が終わったら、しっかり乾かしましょう。
今回は自分たちでできるカビ除去の方法をご紹介しましたが、天井や壁などの手が届かない場所のカビを除去するには業者に依頼するという方法もあります。
食品工場でのカビ除去作業の実績があり、信頼できる会社に依頼しましょう。
食品工場でカビが発生しやすい場所6つ
この章では食品工場の中で特にカビが発生しやすい場所をご紹介します。
1 | 原材料の倉庫 |
2 | 水回り |
3 | 調理器具 |
4 | 天井 |
5 | エアコン |
6 | 冷蔵庫・冷凍庫 |
原材料の倉庫
食品工場におけるカビの発生源の1つは原材料に付着しているカビです。
例え、たった1つの原材料に付着していただけでも、他の食品に一気に広がる可能性があります。
食品にカビが付着していれば、消費者の健康を害する恐れがあるので、何としてでも繁殖を避けなければいけません。
そこで、原材料の保管庫ではカビが広がりにくい環境を作りましょう。
水回り
シンク、水道周り、排水管など水が常にあるところはカビが発生しやすいです。
特に注意を払いましょう。
調理器具
包丁、まな板、ボウルといった調理器具には食品が直接触れるため、カビの養分となる食物残渣が付着しやすいです。
調理器具にカビが繁殖したら、それに触れた食品に移ってしまいます。
そこで、しっかり洗浄し、消毒を行うことでカビの発生を防ぎましょう。
天井
水をよく使い、湿度が高くなりやすい部屋の天井はカビが発生しやすいです。
天井にカビが生えていると、降ってきて食品に付着するリスクがあります。
そこで、水蒸気が出る部屋ではしっかり換気を行い、空気を循環させて天井付近に空気が留まらないようにしましょう。
エアコン
エアコンはカビが好む埃や水が溜まりやすいです。
内部にカビが生えていれば、風と一緒にカビも運ばれる恐れがあります。
そこで、定期的に内部まで清掃しましょう。
冷蔵庫・冷凍庫
結露が発生しやすいため、カビが発生しやすいです。
冷蔵庫や冷凍庫では原材料や製品を出し入れするため、カビがあると、食品に付着する恐れがあります。
徹底的に対策をし、万が一カビが発生していたらすぐに除去しましょう。
対策をするなら知っておきたいカビが出やすい条件4つ
この章ではカビが発生しやすい4つの条件をご紹介します。
温度
まず1つ目の条件は温度です。
種類にもよりますが、カビが成長する温度は0〜60度ほどと言われています。
その中でも特に25~28度で活発になるとされています。
そのため、この温度を避けて温度管理を行うのが望ましいです。
湿度
湿度は65%以上で繁殖しやすいと言われています。
湿度が上がれば上がるほど、成長しやすいとされています。
そのため、水回りや結露が発生しやすいところは特に注意が必要です。
pH(ペーハー)
カビが特に生えやすいのはpH4〜4.5と言われています。
これは弱酸性の範囲です。
ただし、pH2〜8.5でも生存はできます。
栄養
カビはデンプン、糖分、垢、埃、塗料、壁材などを養分とし、増殖します。
食品工場のカビを確認する2つの方法
食品工場でカビの有無を確認する方法は大きく分けて2つあります。
浮遊菌測定法
浮遊菌とは空中に漂っているものを指します。
一定の量の空気を集め、その中に含まれる微生物を培養し、数を調べます。
落下菌測定法
落下菌とは浮遊菌のうち、一定時間内に落下した菌のことです。
この菌の数を測定します。
測定は浮遊菌測定法に比べて簡単ではありますが、時間がかかってしまうのがデメリットです。
食品工場がカビ対策をすべき理由5つ
この章では食品工場がカビ対策をするべき理由をまとめました。
1 | 混入を防ぐため |
2 | 製品を回収しなければいけない |
3 | 企業の信頼を損なわないため |
4 | 工場の見た目が悪くなる |
5 | 従業員の健康に影響を与える |
混入を防ぐため
カビ対策をすべき一番の理由は食品にカビを混入させないためでしょう。
食品工場で製造しているものは消費者の体内に直接入るものです。
そのため、万が一、カビが付着していれば食べた人の体調が悪くなることも考えられます。
このように、食品工場の責任はとても大きいので、日々カビ対策にしっかり取り組みましょう。
製品を回収しなければいけない
カビの混入が発覚した場合、製品を回収しなければいけなくなることもあります。
このとき、回収に手間がかかりますし、回収したものは廃棄となるのでロスも発生します。
時間もお金も無駄にしてしまうので、絶対にカビの混入は避けたいですね。
企業の信頼を損なわないため
もしも製品にカビが混入していることが発覚した場合、企業の信頼を損ねてしまいます。
今までどれだけ問題のない製品を製造していても、一度カビの混入が発生しただけで大きなイメージダウンになります。
「あの工場で製造されたものは食べたくない」という人が出てきて、売上が下がることも考えられます。
これは食品工場にとって大きなダメージですよね。
一度の過ちでこれまで積み重ねたものが崩れないようにしっかり対策をしましょう。
工場の見た目が悪くなる
天井や壁にカビが生えていると、見た目が悪くなります。
これでは社員のモチベーションが下がってしまいますし、工場見学に来た取引先や一般の人も決して良い印象を抱きません。
カビが生えたらすぐに除去するのが望ましいです。
従業員の健康に影響を与える
空中のカビが多いと、吸い込んで体内に入り、従業員の健康に影響を与えることが考えられます。
企業にとって大事な資本である従業員の健康を守るためにもカビ対策は大事なのです。
まとめ
食品工場では消費者の体内に入るものを製造しているからこそ、カビの混入を何としてでも避けなくてはいけません。
ぜひ今回ご紹介した対策を取り入れて、消費者に安心してもらえる工場を目指しましょう。
1 | カビが繁殖しにくい環境を作る |
2 | 設備をこまめに掃除する |
3 | 防カビ剤を利用する |
4 | カビの発生を防ぐツールを使う |