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高力ボルト不足となった2つの原因

高力ボルト不足となった2つの原因

ここ数年で、話題となっているのが、「高力ボルト不足」です。
建物や橋の建設では欠かせない高力ボルトが不足していることから、人出不足はまた違った問題に建設業界も慌てていますし、国も問題視しています。

この高力ボルト、以前ならあって当たり前であり、不足することなんて考えられなかったのですが、いったい数年の間にどんなことがあり、不足するようになってしまったのでしょうか?

今回は、高力ボルト不足の原因について探ってみました。

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目次

高力ボルトについて

まずは、問題となっている高力ボルトについて、実際どんな役割があるのかなど、説明します。

そもそもボルトとは、いわゆる「ねじ」のことを言います。
ボルトは、棒状で全体にねじが切られた全ねじと、半分がねじに切られた半ねじがあり、これを雄ねじといい、ナットともに締め付けたり、穴に締めつけるものを雌ねじといいます。

これを踏まえて、建設現場で高力ボルトは、接合部としての役割があります。

高力ボルトの形状

高力ボルトは、通常のねじよとは形状にはあまり違いはありませんが、付属する部品があります。ボルト・ナット、そして座金です。

座金は、金属でできた薄い板状の部品で、ナットの下に入れます。そうすることで、固着具と部材の間が締め付けやすくなります。また、ナットが回転してしまわないようにする役目もあります。

また、素材は鋼材となります。

高力ボルトの用途

高力ボルトは、高い強度と強い締め付ける力が求められる建設現場において、接合部として使用されます。

鉄骨造の柱や梁、橋の建設には欠かせないものとなります。

不足している原因は2つ

では、これだけ大事な高力ボルトが、どうして不足してしまったのか?
大きな原因として2つのことが挙げられます。

都心の建設ラッシュ

都心で建設ラッシュとなっている要因は、2020年の東京オリンピックの関連施設です。また、地方ではありますが、ラグビー・W杯の会場整備も要因になっているはずです。

こうした大型の建設が続くと、高力ボルトの必要数も桁違いに多くなりますし、建設する重要度からみても、オリンピック関連が優先されてしまうことが目に見えています。

また、身近な問題からも建設を急ぐケースがあります。それが保育園や幼稚園の建設です。都心に限らず、日本ではいま「待機児童」という問題を抱えています。行政が動かないことには、この問題は解消されることなく続いてしまいます。受け入れる体制を整えるためにも、こちらの建設も急ぎたい建設の一つです。

東京オリンピックの開催まで、もう一年となりました。
国立競技場をはじめ、会場や選手村など、関連施設は多くあります。高力ボルトの不足は、このオリンピック関連にも影響が出てきているともいわれています。

建設業者からの過剰な発注

建設ラッシュにて、高力ボルトが不足していることは、建設業界の人なら誰もが知っていることです。
そのため、どの建設会社でも在庫を確保しようという動きが出ています。

そのため、建設中の現場での必要数以上に、発注する建設会社が増えているのです。品不足な上に、過剰の発注が続く状態では、供給が追いつかない状態が続いてしまいます。

国も状況を重く考えている

高力ボルトがないと、建設を進めることはできませんから、納期が遅れます。また、今後の建設案件については、計画そのものが中止となることも考えられます。

この状況を知った国も、状況を重く考えるようになりました。
そこで、国土交通省から出された要請は、「統一発注書」を活用するというものです。

先述したように、高力ボルトが不足しているという状況を不安に思い、過剰に発注をしています。まずは、この行動を抑制することを目的にしていると考えられます。

使用する発注書には、納品先となる現場名など詳細を記載する欄が設けられているので、「必要な場所に必要な分だけ納品する」ことが分かります。

実際、発注書は各会社ごとに雛形が違い、使用目的などを細かく書くことはありません。だから、事前に次の現場に必要な高力ボルトを追加して発注することは、誰にでもできることです。

この統一の発注書を一時的でも使用することが決められたら、発注する数を安易に増やすことはできなくなります。要請を出したのが国土交通省ですから、建設会社も正しく取り組むことが考えられます。

高力ボルトの市場安定に向けて

今回の発注書の発表とともに、国土交通省が提示した資料では、高力ボルトの需要と供給を以下のように考えています。

  • 高力ボルトの需要量は年間11万~13.9万トン
  • 高力ボルトの推定供給能力は年間12万~13万トン

まずは、高力ボルトの市場を落ち着かせ、混乱している現状はあくまでも一時的なものという見方を示しています。

オリンピック関連施設をはじめ、住宅レベルにまで鉄骨の需要は上昇しているので、今後の対策としても現状の把握と改善は急ぐべきともとれます。

メーカーの現状について

建設状況を左右されまでになっている現状ですが、高力ボルトのメーカーはなぜ、生産が追いつかないのでしょうか?

国内の主なボルトメーカーは以下になります。

  • 日鉄ボルテン
  • 日本ファスナー
  • 神鋼ボルト
  • 日亜鋼業

こうした状況について、国内メーカーで生産が追いつかない理由があります。

素材が足りない

国内メーカーの生産は、毎月合計で1万トン程度だといわれます。現状、この生産数では需要が追いつきません。
それなら、生産数を増やせば問題ないと、誰もが思いますが実はそれができない現状があります。

高力ボルトの素材は、特殊鋼線材です。これは、強度や加工性を高めるために、特殊な熱・処理を加えることで作られます。この特殊鋼線材は、高力ボルトだけでなく、底堅い自動車部品としても使用されるため、需要があります。そのため、自動車の国内メーカーだけなく、絵画からも需要があり、その価格が高騰しているともいわれています。だから、高力ボルトのメーカーも必要量の確保が安易にできないのです。

生産数を増やすことは難しいようです。

人手不足

建設業界でも人手不足は深刻な問題ですが、高力ボルトを生産するメーカーにおいても、少なからずとも人手不足が影響をしています。

高力ボルトを生産するためには、いくつかの工程があります。

  • 鍛造加工
  • プレス加工
  • 熱処理
  • 軸部切削加
  • 首下転圧
  • 外径研磨
  • ねじ転造

これだけの工程を機械で加工しながら生産しますが、人の目による細かな確認がどの工程でも必要となるため、経験と実績が求められます。

目を酷使すること、小さいながら大きな建物を支える部品だけに、細部までチェックするのは、想像以上に重労働です。

人材確保も容易ではないようです。

納品は約6ヶ月先

国土交通省による対策が発表されましたが、現在、高力ボルトを発注すると、納品は約6ヶ月先になるとされています。

半年先まで高力ボルトが手に入らないとなると、建設計画を諦めるケースは増えていきます。建設が行われないとなると、そこに関連する鋼材を扱う業界も冷え込むことが考えられます。

約6ヶ月の納品待ちという状況で一番キツイのは、中小規模を扱う建設業者とも言われています。これは、マンションやビルを建築する建設業者が該当します。

まずは、納期待ちの状態を短くなっていくことに期待したいですね。

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まとめ

高力ボルトの需要が上昇した背景には、建設現場で溶接する「溶接工」が不足しているからとも言われています。

ここにも建設業界の人手不足が影響を与えています。

今後の状況にどう影響してくるのか、注目したいですね。

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