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耐震診断で建物を守る4つのポイント

耐震診断で建物を守る4つのポイント

台風による大雨や、被害が心配される時期になりました。
昨年は、台風が上陸するたびに大きな爪痕を残すような状態でしたが、今年は最小限の被害で過ぎていくことを願うばかりです。

天災は本当に怖いものですが、台風以外に日本では「耐震」を強化して、地震に備えています。

そんな耐震について建物を診断するのが、「耐震診断」です。
大きな地震に備えて、どんな基準で診断されているのか、今回は、建物の耐震診断についてご紹介します。

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目次

日本の建物に重要な「耐震性」

日本では台風以外にも天災によって、建物が倒壊したり一部破損することがあります。その中でも、最も恐れているのは、地震です。

なぜ、それほどまでして、地震を恐れているのでしょうか?

実は日本では、約2,000もの活断層があります。そして、世界で起こる震度6以上の地震の約20%が日本付近で起きています。
いつ、大きな地震が起きてもおかしくない状況にあります。

一度、大規模な地震が起きると、建物は大きく揺れそのまま立ち続けることが不可能な状態になります。

地震による被害を少しでも減らせるように、日本の建築基準では「耐震性」を重要視しています。

大規模な地震で建築基準法の改正

日本で建物を建設する基準は、「建築基準法」に定められています。
この建築基準法は、昭和25年に制定され、建築物の敷地・設備・構造・用途について最低基準あり、国民の生命・健康・財産の保護を目的としています。

制定された当時と今とでは、環境も違えば建設に使う建材も違います。だから、細かな改正が繰り返し行われており、そして大規模な地震が発生するごとに耐震に関する基準も改正されてきました。

新耐震基準となった1981年

まず、日本の耐震基準で大きく変化したのが1981年です。
1978年に発生した、宮城県沖地震が大きく影響しています。この地震で震度5が観測され、大きな被害が発生したことが改正をした理由とされています。

建物の耐震を診断をする上でも、この時の新耐震基準の前後では建物の耐震に大きく違いあるとして、重要視されています。

新耐震基準をさらに強化した2000年

新耐震基準によって、建設されるようになった以後、地震に強いビルや家屋が日本に増えていきます。
それを体感することになったのが、1995年に発生した阪神・淡路大地震です。震度7を観測した大規模な地震です。

この時に、私たちは多くの建物が倒壊して火事が発生している映像を目の当たりにしました。その倒壊した建物が、旧耐震基準で建設された建物がほとんどだったと言われています。新耐震基準の建物は、被害が少なかったのです。

実際の地震を経験することで、耐震の大切さを学んでいきます。
そして、この大規模な地震後にも改正が行われます。建物の必要壁量が見直され、新耐震基準を強化する形となります。

こうして2000年以降の建物は、さらに強化され

  • 基礎構造
  • 接合金物
  • 壁の配置バランス

新・新耐震基準となり現行の耐震基準となっています。

この新・新耐震基準でも大規模な地震を3つ経験しています。

  • 2004年 新潟中越地震
  • 2011年 東北地方太平洋沖地震
  • 2016年 熊本地震

今後も大規模な地震が想定されているため、建物の耐震基準は改正が見込まれます。

耐震診断とは

建設される建物が、定められた耐震基準をクリアしているかを調査するのが、「耐震診断」となります。

実は、日本では法律によって建物の耐震基準が定められていますが、現存する全ての建物が現行である「新・新耐震基準」を満たしているわけではありません。現在も旧耐震基準によって建設された建物が多く存在しています。

しかし、その旧耐震基準で建設された建物が、大規模な地震の犠牲となっていても、法律には「今すぐ補強・改修」を命ずるまでの効力はありません。決して安くない費用ですから、国民に無理をさせることはできません。

そこで、耐震診断を行い診断基準を元に、大規模な地震に耐えらるのか、耐震補強案や費用の概算を算出していきます。

耐震診断の流れ

耐震診断は、実際に現地にて建物を調査する以外にも行われることがあります。
耐震診断の流れは、以下の画像のように進められていきます。


出展:日本耐震診断協会

耐震診断として「予備調査・一次調査・二次調査・精密調査」の4つに分けることができます。

予備調査

予備調査では、建物に関する情報収集からはじめます。

例えば、

  • 建物の竣工年月日
  • 主体構造
  • 現在の用途

そして、どの耐震基準に該当するのかを把握していきます。

そのために必要となる資料としては、設計図書と呼ばれる一般図と構造図などが必要となります。

その後、聞き取り調査が実施されます。

  • 被災の有無
  • 増改築の有無
  • 現在までの経過

ここまでの調査をまとめ、診断レベルの設定を行います。

一次調査

予備調査を元に、現地での調査を行います。
一次調査で重要視されるのは、以下の点です。

  • 構造部材のおける材料強度・断面寸法
  • 建物の変形・コンクリートのひび割れ
  • 建物の形状

一次調査では、目視にて調査が行われます。

  • 建物のひび割れ(内外いずれも)
  • 鉄筋の腐敗状況

また、たわみや柱の傾斜、不動沈下はその状況を実測することがあります。主にスケッチをしていきますが、場所によっては写真撮影をして調査を行います。

コンクリートの強度について一次調査では実施をしていないので、竣工の年月日を頼りにコンクリートの強度の数値を推定します。

一次調査では、設計図と照合して内容に間違いがないこと、どれほど劣化しているのかを調査して診断結果が出されます。

二次調査

一次調査の結果を元に、さらに詳しく調査を重ねていきます。

  • 構造部材の耐力
  • 構造のきれつ・変形・発生の有無
  • 変質と老朽化の現状

現地での調査では、目視と簡単な計測のみですが、場合によっては建物の一部を外して調査を行うことがあります。

例えば、コンクリートのひび割れです。建設から年数が経てば、どんな優れた建物でも必ずひび割れが生じます。

一次調査では、竣工年月日から数値を推定するだけでしたが、二次調査では計測を行い、どのような状況でひび割れができたのかを調査していきます。

また、建物以外にも調査を行うのが、敷地内や周辺の自然環境を調査します。

地盤が建物を維持できだけの状態にあるのか、崖や傾斜などを観測して調査します。

精密調査

精密調査は、ここまでの調査を元に、補強設計を行う場合や、さらに正しい建設状況を確認するために行います。

  • コンクリートの材料・強度
  • 配筋状態・鉄筋断面・鉄筋の降伏点の強度
  • きれつなど欠損状態の再評価
  • コンクリートの現状を再評価

さらに詳しい調査はもちろん、将来の補強対策を見据えて調査を行います。そのため、必要であれば、「構造耐震指標算定者」に同行してもらい、さらに詳しく調査を行います。

耐震診断の基準

耐震診断では、3つのポイントから「is値」と呼ばれる「構造耐震指標」を算出します。

  • 保有性能基本指標(建物が保有している基本的な耐震性能を表す指標)
  • 形状指標(平面・立面形状の非整形性を考慮する指標)
  • 経年指標(経年劣化を考慮する指標)

そして、算出されたis値から、建物が倒壊・崩壊する危険度が決まります

  • is値が0.6以上・・・倒壊、又は崩壊する危険性が低い
  • is値が0.3以上ー0.6未満・・・倒壊、又は崩壊する危険性がある
  • is値が0.3未満・・・倒壊、又は崩壊する危険性が高い

この数値は、震度6〜7程度の地震を基準に決められた基準となります。

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まとめ

地震が起こる頻度は、年々増えているようにも感じます。もともと、活断層がありますから体感しないものを含めると、ほとんど毎日のように地震は起きているでしょう。

そんな時、地震から身を守るためにも、自宅や会社がより安全な場所であることが必要となります。

古い基準で経てられた建物は、劣化が進み補修工事が必要な状況であることは誰もが承知しています。決して安い買い物ではありませんから、正しい診断と工事内容を見極めることも必要です。

「やっておけばよかった」では、あとの祭りです。
ぜひ一度、ご検討ください。

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そのために、工場・倉庫に関する情報を発信し、少しでも知識を得てもらい、後悔がない工場・倉庫建築に役立てていただければ情報を発信しています。

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