間仕切りとは、建物の内部にて空間を区切る役目をするものです。
内部を区切るといえば、壁が同じ役目をしています。しかし、壁の場合には建物の一部として作られているので、後で移動させる区切り位置をかえるなんてことはできません。
間仕切りの場合には、簡単に移動できる板などを活用しているため、一時的に区切りを作ったり、後で変更させたりということが可能になります。
倉庫に壁がない理由
そもそも倉庫は、多くの商品を保管するために建設されます。そのため、建物自体も柱と柱の間を広く取れる「鉄骨造」で建設されることがほとんどです。
鉄骨造は自由設計ができると人気の構造です。間を広く取ることで空間を広く活用できることが特徴ですから、倉庫に適した構造であることは間違いありません。
柱の位置は設計の段階で商品に合わせて考えているから、倉庫として稼働を始めてからも煩わしさはほとんどありません。
そんな壁のない倉庫に間仕切りを作るメリットはどこにあるのでしょうか?
倉庫に間仕切りを作る3つのメリット
広い空間に間仕切りを作るメリットをご紹介していきます。
倉庫を所有する人には悩みが解消される事例にもなっているので、ぜひご覧ください。
空調を効率よく稼働できる
倉庫を有効活用するために広い空間を作るのですが、広いことでデメリットとして「空調が効かない」ことが挙げられます。
倉庫で空調が効かないのは、働く従業員にとっても辛いですし、何より保管している商品の品質が難しくなること、カビが発生する原因にもなります。
しかし、間仕切りを置くことで空調の効きは抜群に上がるのです。なぜ、こうした現象が起こるのかは簡単なことです。間仕切りが壁と同じように小さな空間を作ってくれるので、冷暖房のどちらにとっても快適な温度を保つことができるのです。
業務用の大きな空調設備を設置しても、間仕切りを作る前までは効き目はほとんどなかったはずです。簡単な間仕切りを置くことで快適な空間になるばかりではなく、コスト削減にもなります。環境にも優しいので、工場の評価も上がります。
衛生管理の向上
倉庫内はゴミやほこりを嫌います。また、虫が入ってくることもあります。食品関連の倉庫であれば、腐敗の原因になったり、食中毒の原因、さらには食品への異物混入ということで、問題はどんどんエスカレートしていくばかりです。
食品関連以外には、精密機器なども衛生管理がしっかりされた環境を望みます。
人間のやることなので、ゼロにするのは難しいことですが、限りなゼロに近い状況まで持っていきたいのが企業側の本音です。
そう思うと完璧な防塵や防虫が必要なのではと思われますが、意外にも間仕切りのような簡単なものでも十分に役目を果たしてくれます。
出入り口や窓が近い場合には、その間に置くことで効果を感じられるはずです。万が一、奥の方にある場合には、湿気のたまりやすい場所との間仕切りに使うのも効果的です。
作業効率が上がり事故防止になる
広い空間での作業は、周りへの配慮が欠落します。十分な広さに安心感を抱いてしまうのです。しかし、実際には限られた空間です。お互いの作業を考えずにいたら、必ず事故が発生します。
間仕切りを作ることで相手に配慮する気持ちが生まれます。だから、自分が作業をするときには、周りを注意して安全であること確認してから行うようになります。
こうした時間が無駄という人もいますが、かえって作業がしやすくなりストレスが減るので、自然と倉庫内での作業効率が上がっていきます。
間仕切りに使われる素材について
非常に簡易的な間仕切りですが、使われる素材はいろいろあります。
代表的な素材と用途やメリットをご紹介します。
アルミ
最も低コストで、工期が短いので、誰でも手軽に使用することができます。さらに加えるなら軽量という点も人気の一つです。扱いやすいので、使う人を選ばないことも人気の理由に挙げられます。
スチール
鋼材で作られているので、アルミより強い素材となります。不燃性、耐震性、遮音性、断熱性など優れた性能が多いことが人気の理由です。
素材自体に重量があるので、倒れる心配がなく安心して使えるのがメリットです。
フェンス
通気性が良いので、製品の品質を落とすことがないのが特徴です。保管するという面では最も優れています。
また、フェンスは間仕切りではありますが、向こう側を見通すことができます。セキュリティ面から見ても安心して使えることがメリットです。
ビニールシート
アルミと同様にこちらも低コストで短い工期で準備することができます。
倉庫などでは、寒さ対策としても利用されていることから、一番身近に感じやすい素材かもしれません。
フェンスほどの見通しの良さはありませんが、ある程度の見通しを確保することができるので防犯対策にも使うことができます。
テントシート
強度に優れていること、隠しておきたいところに使うのに適しています。遮光にもなるので、火の光を嫌う商品の保管にも使えます。
キャンプに使われるテントシートと同じように、軽量ながら防炎、防寒、帯電防止、抗菌などさまざまな機能を備えているのも魅力の一つです。
間仕切りでやってはいけないこと
間仕切りをするメリットは倉庫の悩みを解決してくれる上に、使われる素材はどれも機能が高いものばかりです。
しかし、間仕切りをするときに注意しなくてはいけないことが一つあります。
天井から床までしっかりと区切りを作ることです。
ここが落とし穴です。間仕切りでしっかり区切りをすれば、さらに効率よく使えると誰もが思うはずです。しかし、ここまで徹底してしまうと、もはや空間ではなく「部屋」という解釈なってしまうのです。
間仕切りが部屋となってしまうと、これは消防法のルールにしたがって新たに申請が必要となってしまうのです。しかも、事前申請が必要なので、点検など指摘を受けると改善をしなくてはいけないので、せっかくの労力が水の泡となってしまいます。
もし、しっかりと区切りをつけたいなら、以下の手続きが必要となります。
・部屋の新設(間仕切りの設置)工事の7日前までに、「防火対象物工事等計画届出書」を消防署へ提出する
・新設する「部屋」の壁や天井材には不燃材を使用する
・新設した「部屋」にはそれぞれ火災報知器と排煙設備を設置する
大切なことですが、意外と大変です。こちらのルールに注意しながら間仕切りを考えてみてください。
まとめ
倉庫で間仕切りを作るメリットについてご紹介しました。大きな空間を必要としながらも、空調などには問題があり困っていた業者も多いのではないでしょうか?
取り扱う商品によって必ずしも適切とは言い切れませんが、間仕切りをすることでコスト削減ができるのは大きなメリットです。
また、逆に簡単な設置で可能とするため、消防法のルールに違反してしまう可能性もあります。こうした新たな作業を増やしてしまわないように注意してください。