倉庫にずっと置かれたままの製品はありませんか?
数年前に仕入れたものや埃をかぶっているものが保管されていることは珍しいことではありません。
場合によっては完全に存在が忘れられているものもあるでしょう。
こうした在庫を余剰在庫や滞留在庫と言います。
余剰在庫と滞留在庫をずっとそのままにしておくのは良くありません。
なぜなら、管理し続けるのにコストがかかったり、劣化したりするデメリットがあるからです。
つまり、余剰在庫や滞留在庫があるなら量を減らすように対策すべきですが、一般的な在庫と同じように定価で売ろうとしてもなかなか売れません。
そこで、今回は余剰在庫と滞留在庫を減らす方法やそもそも発生させないための対策をご紹介していきます。
在庫管理にコストがかかりすぎている、ずっと動かない製品を早く処分したいという方はぜひ参考にしてくださいね。
余剰在庫とは
注文しすぎて残った在庫のことを指します。
単純に売れ残っただけなので、時間があれば全て捌くことができる可能性があります。
そのため、余剰在庫があってもすぐに対処するべきというわけではありません。
ただし、あまりに数が多すぎると在庫を圧迫したり、運転資金が減ったりするデメリットはあるため、余剰在庫が増えすぎるのは決して良くありません。
滞留在庫とは
賞味期限が近い、パッケージが損傷しているといった理由で売れる見込みが少ないものは滞留在庫と呼ばれます。
余剰在庫はすぐに対応しなくてもあまり問題はありませんが、滞留在庫は長く持ち続けても売れる可能性が低いので、早く対処することが求められます。
適正に在庫管理をするには定期的に滞留在庫の有無を把握することが求められます。
余剰在庫や滞留在庫が増えるデメリット4つ
余剰在庫や滞留在庫を抱える倉庫は少なくありません。
こうした在庫をいつまでも放置していると企業にとって大きなデメリットが生じることもあります。
これから余剰在庫や滞留在庫のデメリットをご紹介するので、ぜひ知っておきましょう。
スペースを使う
動かない在庫の数が多いと、倉庫のスペースをたくさん使うことになります。
すると、現在の倉庫では管理しきれなくなり、他に倉庫を借りる必要が出てくる可能性があります。
他に倉庫を借りれば、当然管理コストがかさみます。
また、倉庫の電気代や、管理に必要な人件費もかかるでしょう。
さらに、倉庫の範囲が大きくなると、ピッキングの際に移動する距離が増え、作業効率が下がるというデメリットもあります。
運転資金が減る
製品の仕入れにはコストがかかります。
つまり、在庫が増え、売れない状態が続けば運転資金は減ってしまいます。
運転資金があまりに少なければ資金繰りが苦しくなり、倒産に繋がることも考えられます。
一方で、在庫を最小限にして、在庫管理にかかるコストが少なくなれば運転資金に余裕が出るでしょう。
製品の品質が下がる
最初は綺麗だった商品も時間が経つとパッケージや商品自体が劣化します。
あまりに劣化が激しければ、定価で売ることができず、値下げをする必要が出てくるでしょう。
そのため、在庫は長く抱えずにすぐに売るのが理想的です。
特に、食品や医薬品など賞味期限や使用期限があるものは期限が近づくに連れて大きく価値が下がります。
最悪の場合は売らずに処分することもあるでしょう。
廃棄すると仕入れ価格を少しも回収できず、大きな損失になってしまいます。
税金が増える
会社が抱える在庫は資産として見なされます。
そのため、在庫が多ければその分資産が多いと判断され、税金も増えます。
在庫を減らすために安く販売したり、廃棄したりするのは勿体無いと感じるかもしれませんが、税金のことを考えると本来より利益が小さくなっても処分する方が良い場合があります。
余剰在庫を減らす方法2つ
在庫を抱えすぎるとコストがかかり、利益やキャッシュフローが小さくなるからこそ、余剰在庫がたくさんあるなら減らすために対処すべきです。
これから余剰在庫を減らす方法をご紹介するので、できるものから取り組んでみましょう。
セールをして捌く
余剰在庫は滞留在庫とは違い、売れる可能性があるものです。
そのため、価格を下げて販売すると一気に捌ける可能性があります。
セールをするときには仕入れ価格を確認し、利益が出るように価格設定をしましょう。
値下げは何度も行うと定価で販売したときに買い控えが起こってしまうので、歳末や年度末など特別なときだけ行いましょう。
アウトレット店で販売する
アウトレットショップは様々な事情によって定価で売れなくなった商品をお得な値段で販売するお店です。
一度はアウトレットショップに足を運んだことがあるという方も多いのではないでしょうか。
アウトレット品を買いに来る人は安く商品を手に入れることを目的としている人が多いため余剰在庫でも売れます。
滞留在庫を減らす方法2つ
余剰在庫とは異なり、売れる可能性が低いものだからこそ、滞留在庫は値下げして販売することが難しいです。
ではどうすれば滞留在庫を処分できるのでしょうか?
業者に引き取ってもらう
セールやアウトレットで売れないものでも、業者に引き取ってもらうことで処分することができます。
販売した場合ほどの利益は出ませんが、在庫の現金化をすることができ、運転資金を増やせます。
また、すぐに現金が手に入るのも魅力です。
ただし、在庫処分をしている業者の中には悪質なところもあり、後から追加料金が発生するなどトラブルに巻き込まれることも少なくないので、依頼する際には良い業者を選びましょう。
廃棄する
賞味期限や使用期限が過ぎてしまったものや、業者に引き取りを断られてしまったものなど、どうしても現金化することができないものは廃棄することになります。
仕入れ価格を少しも取り返すことができず、大きな損失になってしまいますが、いつまでもそのままにしていると管理コストがかかるため、どうしても動かないものは早めに処分しましょう。
余剰在庫や滞留在庫を減らすためにすべき対策4つ
余分な在庫を処分する方法をご紹介しましたが、そもそも余剰在庫や滞留在庫が発生しないようにすることが理想的です。
そこで、最後に余剰在庫や滞留在庫を減らすためにすべき対策をご紹介します。
需要を正確に予測する
在庫を抱え過ぎないためには需要を正確に予想することが大切です。
需要を読み違えてしまうとたくさん仕入れたもののあまり売れないという事態に陥り、余剰在庫が発生してしまいます。
過去のデータを見たり、情勢を考慮に入れたりしながら正確に需要を予測し、適切な量を仕入れましょう。
在庫管理システムを導入する
余剰在庫や滞留在庫を減らすためには常に在庫の状況を把握することも欠かせません。
なぜなら、在庫の状況が分かっていなければ、在庫が十分あるにも関わらず新しく仕入れて余剰在庫が発生したり、賞味期限が近づいている商品があることに気づけなかったりするからです。
在庫の状況を常に把握するには在庫管理システムを導入するという方法があります。
これは入出庫や在庫管理をデジタル化し、倉庫の物流全体を管理するものです。
在庫管理システムを導入すれば在庫の量や状況をすぐに知ることができます。
各部署の連携をしっかりする
適正な在庫管理には社内の各部署の連携が求められます。
例えば、在庫に余裕を持たせるために製造部門が多く生産したいと考えていたり、販売部門が機会損失を防ぐためにたくさん仕入れることを望んでいたりと各部門にはそれぞれ考え方があるからです。
それぞれの部署が好きなように在庫の仕入れをしていると、適正な在庫管理はできません。
そこで、各部署の間で適正な在庫の量を共有し、その通りに管理できるように協力しましょう。
保管場所を常に整理する
在庫が整理されていなければ管理者の目が届かないところに保管される在庫が発生し、販売されずに滞留在庫となってしまうリスクがあります。
また、本当は在庫があるにも関わらず、無いと判断して新しいものを発注し、余剰在庫が発生する原因になることもあるでしょう。
そこで、在庫は常に整理・整頓することを意識しましょう。
まとめ
余剰在庫とは売れ残りのことで、ただ余っている在庫なので時間をかければ売れる可能性があります。
一方で、滞留在庫は売れる可能性が低いです。
もし、倉庫に余剰在庫や滞留在庫があるなら、管理コストを下げ、会社の利益を大きくするためにも減らすための取り組みをしましょう。
また、こうした在庫を発生させないための対策も進めましょう。