この記事では次の内容をまとめています。
- 温度・湿度管理に必要な設備
- 温度・湿度管理に必要な対策
- 温度・湿度管理が重要な理由
温度や湿度管理が必要な製品を扱う工場や倉庫が知っておくべきことを全てまとめました。
工場・倉庫が温度・湿度を管理するために必要な設備7つ
この章では工場や倉庫が温度や湿度を管理するために欠かせない設備をご紹介します。
1 | 温度計 |
2 | 湿度計 |
3 | エアコン |
4 | 除湿機 |
5 | 断熱カーテン |
6 | ドッグシェルター |
7 | 二重扉 |
温度計
温度を管理するには絶対に欠かせないものです。
管理する製品や原材料にとって最適な気温を保てているかどうかを一目で確認することができます。
その場で確認できるのはもちろんのこと、遠隔で温度を知れるものもあり、万一、温度が適温から外れた場合はすぐに気がつくことができます。
ちなみに、温度管理が求められるものには
- 医薬品
- 生鮮食品
- 乳製品
- アイスクリーム
- 冷凍食品
などがあります。
湿度計
湿度管理が必要な製品を扱う際には欠かせないツールです。
湿度が高すぎると、カビ、酸化、腐食の原因となります。
特に、日本は湿度が高い国で、梅雨の時期は特に顕著となるため、製品によっては湿度管理が必要なケースがあります。
湿度管理が求められる製品は木材、金属、電化製品などです。
エアコン
エアコンは温度や湿度を調整できるため、温湿度管理には欠かせない設備です。
品質管理ができるだけでなく、従業員が快適な気温下で働けるというメリットもあります。
空調には様々な種類があり、対応できる面積や温度はそれぞれ異なるので、倉庫のスペックや、求める温度に対応できるかどうかをきちんと確かめた上で設置しましょう。
除湿機
湿度を低く保つためには除湿機が必須です。
湿度管理が求められる製品を扱う除湿倉庫で主に使われます。
断熱カーテン
断熱カーテンは空間の温度を一定に保つのに役立ちます。
熱が逃げないような仕様になっており、空間の周りをカーテンで囲むことで、工場や倉庫は外の気温の影響を受けにくくなります。
日本は夏に暑くなり、冬に寒くなり、それに伴って工場や倉庫の建物内も気温が大きく変化するため、カーテンを設置していれば温度を保ちやすくなります。
ドッグシェルター
搬入口についている装置で、トラック後部の扉を入れて密閉することができるようになっています。
特に冷凍倉庫や冷蔵倉庫で使われます。こうした倉庫で保管される製品は少しの間でも気温が高いとこに置かれると、急激に劣化が進むため、搬入や搬出の際も厳重に温度管理をする必要があります。
冷凍冷蔵倉庫についてはこちらの記事でも解説していますよ。
二重扉
入り口を二重にすることで、外気を入れにくいようにするものです。
従業員の出入りは室内の温度が変わりやすいタイミング。
一度温度が上がったり、下がったりすると、適温に戻すのにしばらく時間がかかります。
家庭用の冷凍庫でも一度でも開け閉めをするだけで中の温度が一気に上がるという話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
適温に戻るまでの間、品質が悪くなることも考えられます。そこで、出来るだけ温度を変化させない対策が必要です。
二重扉には埃やゴミが入るのを防ぐ効果もあります。
工場・倉庫が温度・湿度を管理するために必要な対策5つ
この章では工場や倉庫が温湿度管理を徹底するためにすべきことをまとめました。
1 | 製品ごとの管理条件を確認する |
2 | 温度計や湿度計の数字を定期的に記録する |
3 | 換気しやすい設計にする |
4 | 設備を定期的にメンテナンスする |
5 | 温度・湿度管理をシステム化する |
製品ごとの管理条件を確認する
まず、工場や倉庫で扱う製品がどのような条件下で管理されるべきなのかを把握しましょう。
ここが把握できていなければ、誤った条件下で保管してしまい、製品の劣化が進んで廃棄になることも考えられます。
適温は製品によってそれぞれ異なるため、個別に確認する必要があります。
また、直射日光を避けなくてはいけない、静電気の発生を防がなくてはいけないなど、温度や湿度以外の保管条件がある場合もあります。
それぞれの条件を把握できたら、管理計画を立てましょう。
温度計や湿度計の数字を定期的に記録する
温度計や湿度計は定期的に数値を記録しましょう。
こうした装置は設置するだけでは不十分です。
定期的に見て、温度や湿度に問題がないかを確認する必要があります。
日頃からこうして確認していると、温度や湿度がきちんと管理できていなかった際にすぐに気づいて対処し、被害を最小限に食い止めることができます。
担当者や記録のタイミングを決めて、割り振っておきましょう。
換気しやすい設計にする
湿度が高すぎない環境を作るには設計段階からできることがあります。
例えば、通気口や換気扇を設置したり、風通しのいい間取りにしたりすることで対策ができます。
こうした対策をするためには、あらかじめ建物内で扱う製品や原材料に湿度管理が必要かどうか確認する必要があります。
湿度管理が求められるなら、建設の際にその旨を建設会社に伝えましょう。
設備を定期的にメンテナンスする
温湿度管理のために設置している設備はこまめに手入れしましょう。
なぜなら、埃が溜まったりしていると性能が落ちるからです。
例えば、エアコンの吹き出し口に埃があると、風量が弱まり、冷却効果が落ちることが考えられます。
さらに、食品工場にとっては、風と一緒に埃やゴミが舞い、食品に付着するというリスクも考えられます。
定期的に設備を綺麗にして、万全の状態で使えるようにしましょう。
温度・湿度管理をシステム化する
温度や湿度の管理はシステム化することができます。
システム化すると次のようなことが可能になります。
- 温度計や湿度計の数値を自動で記録
- 温度や湿度を自動で制御
- 異常があった場合、すぐに検知し、対処する
従業員が記録する場合、うっかり忘れることもありますが、機械に任せるとこのような心配はなくなります。
また、異常に気づくのが遅れて製品の廃棄が生じる可能性も低くすることができます。
温度や湿度の管理に人手を取られたくない、高い精度で管理をしたいという企業にはとても向いています。
工場・倉庫にとって温度・湿度管理が重要な理由4つ
この章では工場や倉庫が温度や湿度の管理を重要視すべき理由をまとめました。
1 | 原材料や製品の品質維持に不可欠だから |
2 | 消費者の健康に影響を与えるから |
3 | 取引先や顧客からの信頼を失うから |
4 | 作業員にとって快適な環境を作るため |
原材料や製品の品質維持に不可欠だから
温度や湿度の管理に力を入れるべき理由はなんといっても品質を維持するためです。
製品にはそれぞれ適した保管条件があり、それに合わない環境で保管すると劣化してしまいます。
品質が悪くなれば廃棄となり、無駄なコストが発生してしまいますし、状態が悪い製品が消費者の元に届き、クレームになることも考えられます。
製品の品質を保つためにも温度や湿度の管理を徹底しましょう。
消費者の健康に影響を与えるから
食品工場や食品を保管する倉庫では温湿度管理ができていないと健康被害の原因になることがあります。
例えば、肉を適温よりも高い温度で保管した場合、菌が繁殖して、消費者が食べた際に食中毒などの被害が発生する可能性があります。
直接口に入れるものを保管するからこそ、特に保管環境には気をつけなくてはいけません。
取引先や顧客からの信頼を失うから
腐敗した製品や、劣化した製品が届くと、消費者や取引先は不信感を抱き、企業は信頼を失ってしまいます。
こうした信頼は一度失うと取り戻すことはかなり難しく、長期間に渡って影響が出ることが考えられます。
消費者に安心してもらうためにも、また、企業の信頼を損なわないためにも、適した温度や湿度を保つ仕組みを作っておきましょう。
作業員にとって快適な環境を作るため
温度や湿度を一定に保つことは従業員にとってもメリットがあります。
暑くて湿度が高い、もしくは気温がかなり低くて寒い空間で作業をするのはとても大変です。
仕事が嫌いになったり、会社に対して不満を感じ、仕事に対するモチベーションが下がることも考えられます。
これでは作業効率が落ちて、会社にとっても良くないので、従業員が快適な環境で働けるよう、温度や湿度には気を配りましょう。
まとめ
工場や倉庫で扱う製品には管理するのに適した温度や湿度があり、それを守らなければ品質が落ちてしまいます。
そこで、温度計、湿度計、エアコンといった設備を使いつつ、様々な対策をしながら、温度や湿度管理が徹底された企業になることを目指しましょう。