この記事では次の内容をまとめています。
- 工場の耐用年数の種類
- 工場が耐用年数を延ばす方法
- 延ばすときのポイント
工場の寿命をできるだけ長くしたいと考えている方が知っておくべきことを全てまとめました。
工場の耐用年数の種類3つ
この章では工場の耐用年数の種類を3つご紹介します。
法定耐用年数
国税庁が定めた減価償却できる年数のことで、いわば法律によって定められた耐用年数です。
同じ工場でも、使われている部材や構造によって耐用年数は異なります。
法定耐用年数の例は次の通りです。
木造・合成樹脂造のもの・・・15年
木骨モルタル造のもの・・・14年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの・・・38年
れんが造・石造・ブロック造のもの・・・34年
金属造のもの(4mmを超えるもの)・・・31年
金属造のもの(3mmを超え、4mm以下のもの)・・・24年
金属造のもの(3mm以下のもの)・・・17年
経済的耐用年数
メンテナンスや修繕にかかるコストが改築費用を上回るまでの年数です。
工場は稼働することで利益をもたらすため、法定耐用年数のように明確な年数が決まっているわけではなく、工場ごとに異なります。
物理的耐用年数
建物の物理的な状況によって決められる耐用年数で、法定耐用年数や経済的耐用年数よりも長めに設定されるのが一般的です。
同じ建物でも自然災害の影響や立地によって年数が異なることがあります。
工場の耐用年数は延ばせる?
先ほどご説明したように、工場には様々な耐用年数があります。
工場としての性能が失われるまでを寿命と考えると、メンテナンスや修繕を適切なタイミングで行えば寿命は延ばすことができます。
できるだけ長く工場を運用したいのであれば、定期的にメンテナンスや修繕を実施しましょう。
工場が耐用年数を延ばす方法6つ
この章では工場が耐用年数を延ばすためにすべきことをご紹介します。
1 | 屋根のメンテナンス |
2 | 外壁のメンテナンス |
3 | 床のメンテナンス |
4 | 構造部分のメンテナンス |
5 | 鉄骨の錆対策 |
6 | 専門家の診断を受ける |
屋根のメンテナンス
まず、屋根のメンテナンスや修繕が必要です。
屋根は紫外線や気候の影響を大きく受けるところなので、劣化が進みやすいです。
ヒビ割れやサビなどが発生していたら劣化のサインです。放っておくと雨漏りなどの被害をもたらすでしょう。
メンテナンス方法はコーキング、カバー工法、塗装、葺き替えなど様々なものがあります。
屋根のメンテナンスについてはこちらの記事でも詳しくまとめています。
外壁のメンテナンス
外壁もまた紫外線や風雨にさらされる部分です。
劣化が進むと見た目が悪くなったり、性能が落ちたりしてしまいます。
塗装が落ちたり、コーキングにヒビ割れが生じたりしていないかこまめにチェックしましょう。
外壁のメンテナンスにはコーキングや塗装を行います。塗装すれば外観が良くなる遠いうメリットもあります。
外壁のメンテナンスについてはこちらもぜひご覧ください。
床のメンテナンス
劣化が進むのは外装だけではありません。
工場内でも建物の劣化は進んでいます。特に、床が割れたり、穴が開いたりしている場合は修繕が必要です。
放っておけばさらに劣化するのはもちろん、従業員が躓いて怪我をすることも考えられます。
また、穴に水が溜まって滑りやすくなり、危険です。
人や機械が行き交うからこそ、工場の床は劣化しやすいです。
床をメンテナンスする際は物をどけなければならず、さらには作業完了後もしばらく立ち入ることができず、経営者にとっては面倒かもしれませんが、必要なタイミングでメンテナンスを行いましょう。
構造部分のメンテナンス
構造部分とは、柱や梁といった建物を支える基礎となる部分のことです。
建物の耐久性に大きく関わるので、常に万全の状態に保っておきたいですよね。
柱にヒビが入っていないか、梁がたわんでいないか、構造に歪みがないかといった点に注意が必要です。
耐久性や耐震性を維持するためにも、劣化が見られた場合はすぐに修繕したり、補強したりしましょう。
鉄骨の錆対策
鉄骨造の工場の場合は鉄骨のメンテナンスが大切です。
鉄骨造は耐用年数が長かったり、耐久性や耐震性が高かったりと様々なメリットがありますが、一方で錆びやすいというデメリットがあります。
結露が発生しやすく、それによって錆びが生じるためです。鉄骨の錆びがひどいと、建物の耐久性に大きく影響を与えます。
そこで、あらかじめ錆び対策をしたり、劣化が認められたら塗装や溶接をしたりして、鉄骨を良い状態で保ちましょう。
専門家の診断を受ける
工場の寿命を長くするには定期的に専門家に建物の状態を診断してもらうことが大切です。
自分たちでも建物の劣化に気づくことはできますが、構造部や屋根の状態は確認しにくいため、専門家の力を借りるのが望ましいです。
メンテナンスが必要な部分があったら、どのような修繕を行うのか、いつ工事を行うかといった細かい予定を立てましょう。
工場の耐用年数を延ばすためのポイント2つ
この章では工場の耐用年数を延ばすために押さえるべきポイントをご紹介します。
1 | メンテナンスを惜しまない |
2 | 本格的に劣化する前に行う |
メンテナンスを惜しまない
メンテナンスや修繕は惜しまず行いましょう。
まだ十分使えている建物にメンテナンスを行うのはもったいないと思うかもしれません。
しかし、適切にメンテナンスを行うことで建物の寿命が延び、長期的に見ると建て替えにかかるコストを削減することができます。
本格的に劣化する前に行う
メンテナンスは適切なタイミングで行うことが大切です。
本格的に劣化し、性能が大きく落ちた頃に修繕しようとしても手遅れで、工事をしてもあまり意味がなく、建て替えしか選択肢がないというケースもあるからです。
ベストなタイミングでメンテナンスをするためには、建設時に業者からメンテナンスの時期を聞いたり、定期的に専門の業者に建物の診断をしてもらいましょう。
工場の寿命の判断方法2つ
この章では工場の寿命を判断する方法をご紹介します。
1 | 減価償却期間の終了時 |
2 | 物理的耐用年数の終了時 |
減価償却期間の終了時
建物の減価償却期間中は節税の面でメリットがあります。
そのため、減価償却期間が終わったら寿命と判断するのが1つの方法です。
ただし、期間が終わっても工場自体は問題なく使えることが多いので、修繕を繰り返しながら使い続ける企業もあります。
物理的耐用年数の終了時
劣化や老朽化が進み、性能が大きく落ち、使い続けるには多額のコストがかかるようになった頃に建て替えを考える企業は多いです。
使い続けることはできても、メンテナンスにかかる費用が大き過ぎると、あまりメリットがないからです。
分かりやすい判断基準と言えるでしょう。
工場が寿命を迎えたときの対処法3つ
この章では工場が寿命を迎えたときの対処法をご紹介します。
1 | 取り壊し |
2 | 建て替え |
3 | 再活用 |
取り壊し
まず1つ目は取り壊しです。解体時には次のようなことに注意が必要です。
- 解体費用
- 騒音対策
- 近隣住民から工事について理解を得る
建て替え
建て替えをするという選択肢もあります。
弊社では工場を稼働させながらの建て替えが可能です。
工事の際はまず、既存の建物に覆いかぶさるような形で鉄骨を組み、屋根や外壁など、外側の部分を建設していきます。
そして、外側の工事が終わったら内部の工事に移ります。
このとき、建物を半分に分け、1期と2期の2つの時期に分けて工事を行います。1期の部分の工事中は2期のエリアで生産活動をすることが可能です。
その後、新しくなった1期の部分に生産設備を移動し、1期のエリアで製造を行いながら2期の工事を行います。
建物を一気に解体してから新しく工場を建てる場合、工事の期間中は生産活動が全くできなくなってしまい、売上が大きく減ります。
そこで、生産量に与える影響を最小限にしたい場合は生産を止めない建て替えがおすすめです。
再活用
建て替えや解体には多額の費用がかかりますが、再活用はこうした費用を極力減らすことができます。
再活用には売却、貸し出し、工場以外の用途で使用するといった様々な方法があります。
まとめ
新しく建てた工場もいつかは寿命が来ます。
ただし、定期的にメンテナンスや修繕を行えば何もしない場合に比べて寿命を延ばすことができます。
メンテナンスや修繕は本格的に劣化する前に行うことが大切なので、適切なタイミングで行うようにしましょう。
1 | 屋根のメンテナンス |
2 | 外壁のメンテナンス |
3 | 床のメンテナンス |
4 | 構造部分のメンテナンス |
5 | 鉄骨の錆対策 |
6 | 専門家の診断を受ける |