この記事では次の内容をまとめています。
- 貸工場とは
- 貸工場を利用する際の注意点
- 貸工場を利用するメリット
貸工場を利用するか、自社で新築の工場を建てるか迷っている方が知っておくべきことを全てまとめました。
貸工場とは?
貸工場とはレンタル工場と呼ばれることもあり、既存の賃貸工場のことを指します。
賃貸の物件を利用すれば気軽に工場を持てるため、新築で建てずにレンタルする経営者も少なくありません。
ただし、メリットとデメリットの両方があるため、借りる際は慎重に判断する必要があります。
貸工場を利用する際の注意点6つ
この章では貸工場を利用する人が知っておくべき注意点をご紹介します。
①家賃がかかる
②内装工事が必要
③賃料が途中で上がることがある
④レイアウトに制限がある
⑤設備を自由に選べない
⑥新築の工場を建てるより高くつくことも
家賃がかかる
貸工場は初期費用をあまりかけずに工場を持てるのが魅力ですが、その代わり、毎月家賃がかかることを覚えておかなくてはいけません。
毎月固定の支出が発生することを理解した上でレンタル工場を利用しましょう。
内装工事が必要
借りる物件は工場用の建物ですが、引き渡しの際には必要最低限の設備しか揃っておらず、内装工事や設備の設置に費用がかかります。
初期費用を抑えられるからといって貸工場を選んでも、蓋を開けてみたら思っていたよりもずっと費用がかかったということもあり得るので注意しましょう。
契約前に業者にどのような状態で建物が渡されるのかよく確認しましょう。
また、実際に建物を見学しておくと安心です。
賃料が途中で上がることがある
レンタル工場には家賃が途中で上がるリスクがあります。
そのため、運転資金を事前に計算していても、値上げがあると予定より支出が増え、資金難に陥ることもあり得ます。
家賃は途中で変わる可能性があることを頭の隅に入れておきましょう。
レイアウトに制限がある
賃貸の物件はレイアウトの自由度がどうしても低いです。
工場の生産性を高めるには生産効率の良い動線を作ることが欠かせませんが、貸工場ではレイアウトに制限があり、ベストな動線を作れない可能性があります。
また、間取りも自由に決められず、従業員にゆっくり休んでもらうために現場とは別の部屋に休憩室を用意したいと思っても、専用の部屋が作れないということがあり得ます。
また、現場と事務所の距離が近く、事務作業をしている際に現場の音が気になったり、電話の音声が聞き取りにくいといった状況が発生することもあります。
レンタル工場を利用するなら、できるだけ理想に近いレイアウトを持つ物件を探すのが理想的ですが、希望の地域に条件を満たす貸工場があるとは限りません。
設備を自由に選べない
建物内に設置する設備を自由に選べないのもデメリットです。
物件に元から付いている設備は自由に変更できないケースが多いです。
エアコンの効きが悪くても変えることができず、従業員が不快な環境で働かなくてはいけないこともあるでしょう。
また、天井にクレーンをつけたいと思ってもオーナーに拒否されるというケースも考えられます。
設備についても事前に必要なものをリストアップし、それが叶えられるところを探す必要があります。
新築の工場を建てるより高くつくことも
新築の工場を建てる場合よりも高くつくことがあります。
特に、長期的に工場をレンタルする場合は払う家賃の額が大きくなるので、こうした状況になりやすいです。
そこで、貸工場を借りる場合は新築の工場を持つ場合に比べて本当にコスト面でメリットがあるか計算しましょう。
貸工場を利用するメリット3つ
この章ではレンタル工場を利用するメリットをご紹介します。
①初期費用が安く済む
②すぐに稼働できる
③移転がしやすい
初期費用が安く済む
貸工場のメリットはなんと言っても初期費用が安く済むことです。
レンタル工場に必要な初期費用は主に次のようなものがあります。
- 前家賃
- 保証金
- 礼金
- 仲介手数料
- 内装工事費
一方で、新築で工場を用意する場合は高額の建設費がかかります。
まだ資金に余裕がない企業でも工場を持てるのは大きなメリットです。
すぐに稼働できる
貸工場では既存の物件を利用するため、稼働までの時間が短いです。
一方で、工場を建設する場合は土地探しから始まり、建設工事が終わるまでに数ヶ月、もしくは1年以上かかるケースもあります。
レンタル工場ならより早く製造を始めることができ、売上も作ることができます。
また、業者との打ち合わせや現地の視察などに時間を取られなくて済むのもメリットです。
移転がしやすい
移転がしやすいのも強みの1つです。
自社工場を持っている場合は貸工場ほどスムーズには進みません。
そもそも、高いお金をかけて建設した工場なので、移転の必要性があってもなかなか決断しにくいでしょう。
また、建物を解体するのか、誰かに貸すのかということも考えなくてはいけません。
この先、移転する可能性が高い場合は貸工場の方が適しているかもしれません。
新築の自社工場を建てる際に知っておくべきこと6つ
この章では企業が貸工場を利用するのではなく、新築の工場を建てる際に知っておくべきことをご紹介します。
①高額の費用がかかる
②土地を探す必要がある
③完成までに時間がかかる
④自由な間取りを作れる
⑤コスト削減の施策を取りやすい
⑥建設会社との相性が重要
高額の費用がかかる
工場を新しく建てるには費用がかかります。
詳しい金額は立地、建物の規模、使用する部材など、様々な条件によって異なるので、建設会社に問い合わせをしてみましょう。
大きな額が動くだけに、建設費は業者とのトラブルになりやすいポイントです。
必ず、分かりやすく詳細が書かれた見積書を提示する建設会社に依頼しましょう。
見積もりに関してはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。
土地を探す必要がある
工場を建てる土地を探さなくてはいけません。
まだ土地が決まっておらず、土地選びのコツもよく分からないという方は土地探しからサポートしてくれる建設会社にお願いすると安心です。
土地選びで失敗すると、周辺環境によって建物の劣化が速くなったり、近隣住民とトラブルになったりと、様々な問題が発生することもあるので、慎重に探すことが大切です。
土地選びについてはこちらの記事でもまとめています。
完成までに時間がかかる
業者への問い合わせから建物の引き渡しまで、長い時間がかかります。
詳しい期間は建物の規模や建築方法によって変わります。
出来るだけ早く新築の工場が欲しいという場合はすぐに建築会社に問い合わせをし、打ち合わせを始めましょう。
ちなみに、システム建築という工法で工場を建てると、在来工法に比べて工期を短縮できますし、建設コストも抑えられます。
システム建築についてはこちらで詳しく解説しています。
自由な間取りを作れる
工場を1から建てるメリットと言えば自由度の高さです。
理想通りのレイアウトにすることができるのはレンタル工場にはない強みです。
工場建設に強い建設会社に依頼すれば、生産効率が高い動線を作れるレイアウトを提案してもらえます。
また、自社の工場は稼働後に拡張や増築が必要になった場合もスムーズに対応できるというメリットがあります。
コスト削減の施策を取りやすい
コスト削減に取り組みやすいというメリットもあります。
例えば、電気代を削減したい場合、古い空調を省エネの新しいものに替えるという方法があります。
自分の工場ならすぐに入れ替えられますが、賃貸の場合はオーナーから許しが得られなければ取り替えることはできず、光熱費は削減できません。
このように、コスト削減の施策を円滑に進められるのは自社工場ならではの強みです。
建設会社との相性が重要
工場を建設するとき、建設会社との相性は非常に重要です。
なぜなら、数ヶ月、1年以上と関係を持つ間柄になるからです。
希望の予算内に収めてくれるか、近くにあるかといったことも大事ですが、担当者が親身になって話を聞いてくれるか、こちらの質問に対して納得するまで答えてくれるかといった点も重要です。
そこで、工場建設の際は複数の建設会社と話し合い、相性を確かめましょう。
まとめ
レンタル工場には初期費用を抑えられる、すぐに稼働させられるといったメリットがありますが、内装工事が必要、家賃が値上がりするリスクがあるといったデメリットがあります。
また、長い目で見ると新しい工場を建てた方が安く済むということもあります。
そこで、貸工場を利用するか、それとも工場を建てるか、両方の選択肢を考えつつ、納得できる決断をしましょう。
①家賃がかかる
②内装工事が必要
③賃料が途中で上がることがある
④レイアウトに制限がある
⑤設備を自由に選べない
⑥新築の工場を建てるより高くつくことも