この記事では次の内容をまとめています。
- 断熱や遮熱の具体的な方法
- 断熱や遮熱方法を選ぶポイント
- 断熱や遮熱をするメリット・デメリット
工場や倉庫で断熱・遮熱をしようと考えている人が押さえておきたいポイントをまとめました。
工場・倉庫が断熱・遮熱する方法4つ
この章では工場や倉庫が断熱・遮熱をする具体的な方法をまとめました。
1 | 遮熱シート |
2 | 断熱材 |
3 | 断熱塗料 |
4 | 遮熱カーテン |
遮熱シート
屋根の上から敷くことで熱を反射し、室内の気温上昇を防ぐものです。
断熱材よりも薄く、素材はアルミ製です。
屋根に貼るだけなので、塗料のように作業者の腕によって出来上がりが左右されることが少ないです。
工場に多い折半屋根でも、平らな屋根でもどちらでも設置できます。
シートなので早く劣化しないか気になる方もいるかもしれませんが、コーティングによって腐食を防いでいるものが多く、丈夫です。
遮熱シートには雨漏り対策になるというメリットもあります。
断熱材
屋根や外壁などに使われるもので、熱を伝えにくい素材でできているため、室内の気温上昇を抑えたり、冬場には気温を下げにくくしたりする効果があります。
ただし、あくまで役割は熱の伝導を遅らせることなので、溜まった熱は時間をかけて室内に放射することになります。
断熱材は建物の建設時に一緒に施工するのが理想的です。
既にある建物に使用する場合は改修工事が必要になるでしょう。
断熱塗料
屋根を断熱塗料で塗装するという方法もあります。
断熱塗料を塗るだけで、何もしていない屋根と比べて何十度も表面の温度が低くなります。
もちろん、室内の気温もそれに伴って低くなります。
ただし、塗料は作業者の腕によって仕上がりに差が出やすく、あまり上手くない人が塗ると液だれが発生したり、塗料の量が少なすぎて効果が低くなったりすることが考えられます。
塗料によって断熱する場合は実績が多く、信頼できる業者に依頼するのがおすすめです。
遮熱カーテン
熱を吸収したり、反射したりすることで遮熱効果を発揮します。
普通のカーテンのような形をしていて、透明のものや半透明のものがあります。
窓ガラスのそばに設置したり、屋外と屋内の境目として設置したりと使い方は様々です。
今ある設備につけるだけなので、他の方法よりも導入しやすいです。
工場・倉庫の断熱・遮熱方法を選ぶときのポイント2つ
この章では断熱・遮熱方法を選ぶ際に確認したいポイントをご紹介します。
1 | 施工時に稼働を止める必要があるか |
2 | 耐久性 |
施工時に稼働を止める必要があるか
断熱や遮熱をする方法を決める際は施工時に工場や倉庫の稼働を止める必要があるかどうかを確認しましょう。
種類によって施工するのに稼働を止める必要がないものもあれば、建物の内側から施工するために稼働を一時的に止めなければいけない場合もあります。
作業が止まれば当然売上やスケジュールに影響を与えるので、事前によく確認しておきましょう。
また、稼働を止める必要がある場合は納期やスケジュールの調整を忘れずに行いましょう。
耐久性
施工前に耐久性についても確認しておきましょう。
例えば、遮熱シートや断熱塗料などは使っていくうちに劣化し、機能が落ちてしまうため、定期的に張り替えや塗り替えが必要です。
当然、耐用年数が短いほどメンテナンスのサイクルは短くなります。
耐用年数は長い方が理想的ですが、よりコストがかかる場合もあるので、色々な面から判断して決めましょう。
工場・倉庫が断熱・遮熱するメリット6つ
この章では工場や倉庫が断熱・遮熱対策をすることで得られるメリットをまとめました。
1 | 光熱費を削減できる |
2 | 熱中症対策になる |
3 | 社員が快適に作業できる |
4 | 製品のロスを防げる |
5 | 結露対策になる |
6 | ランニングコストがかからない |
光熱費を削減できる
断熱や遮熱によって室内に熱が伝わりにくくなることで、室内の気温の上昇を防ぐことができます。
すると、エアコンを使う頻度も、設定する温度も下げることができ、光熱費削減になります。
特に面積が広い工場や倉庫では大きなメリットになるはずです。
また、エアコンを使う頻度が減ることで、機械が長持ちするというメリットもあります。
光熱費に悩んでいる企業には断熱・遮熱はおすすめです。
熱中症対策になる
夏に室内の気温が上がりにくくなることで熱中症対策になるというメリットもあります。
工場や倉庫は夏場に室内の気温が上がりやすいです。
そのため、暑さ対策をしなければ熱中症のリスクに常に晒されてしまいます。
一方で、断熱や遮熱をしていればリスクを下げることができます。
熱中症は最悪の場合、死に至ることもあるので、対策が必要です。
社員が快適に作業できる
夏は暑すぎず、冬は寒すぎない環境になれば社員は快適に働くことができます。
暑い環境や寒い環境は集中力が下がり、社員のモチベーションを下げてしまいます。
1日だけならまだしも、このような環境が毎日のように続くと、会社に対して不満を持ったり、人によっては転職を考えたりすることもあるでしょう。
断熱や遮熱をすることは社員の士気を上げる効果もあります。
製品のロスを防げる
断熱や遮熱によって建物内の気温が極端に変化しにくくなると、製品の品質を守ることができます。
製品によっては暑さに弱く、気温が上がりすぎると品質が悪くなってしまうものもあります。
腐食すると製品は出荷できず、ロスになります。これは企業にとっては痛手ですね。
このような事態を防ぐためには室内の気温を一定にすることが大切です。
また、快適な気温になると、社員の集中力が保たれてミスが発生しにくくなるので、こうした面でもロスの発生を減らすことができます。
結露対策になる
建物の気温が下がりすぎると天井や壁に結露が発生しやすくなります。
結露はカビの発生の原因になったり、サビの原因になったりと企業に様々な問題をもたらします。
一方で、断熱すれば室温が変化しにくくなるので結露対策になります。
ランニングコストがかからない
断熱や遮熱をするには最初こそ建物に断熱材を入れたり、遮熱シートを貼ったりと手間がかかりますが、一度対策をすれば終わりなので、ランニングコストがかからないという魅力があります。
ただし、それぞれの耐用年数を過ぎると再度施工する必要があるので、その際はまたコストがかかります。
工場・倉庫が断熱・遮熱するデメリット4つ
この章では工場や倉庫が断熱・遮熱をする際に考えられるデメリットをまとめました。
1 | コストがかかる |
2 | タイミングが合わないことも |
3 | 定期的にやり直さなくてはいけない |
4 | 業者によって仕上がりが変わる |
コストがかかる
断熱・遮熱対策にはコストがかかります。
コストは取り入れる方法や、施工する壁や屋根の面積などによって変わります。
例えば、建物全体に断熱塗料を塗る場合はかなり費用がかかるでしょう。
施工前には必ず見積もりを取り、納得する費用かどうか確認しましょう。
タイミングが合わないことも
断熱塗料で対策する場合、施工を屋根や外壁の塗装のタイミングに合わせなければいけないケースがあります。
例えば、比較的新しい建物に断熱塗料を塗りたいと思っても、塗料の塗り替えのタイミングがまだ何年も先なので施工するのが難しいというケースが考えられます。
こうした点も考えながら断熱方法を選ぶといいでしょう。
定期的にやり直さなくてはいけない
先ほども触れたように、一度断熱対策をしても、耐用年数が過ぎると効果が落ちてくるため、もう一度施工しなくてはいけなくなることがあります。
対策の種類にもよりますが、10~15年ほどで再度施工が必要になるものもあります。
このように定期的にやり直しが必要になることを覚えておきましょう。
業者によって仕上がりが変わる
断熱塗料は一定の厚さで均一に塗ることが大切です。
しかし、施工者の腕によっては塗膜が均一ではなく、薄いところと厚いところができてしまいます。
見た目が悪いのはもちろんのこと、薄い部分があると断熱効果が十分に出ず、さらには屋根や外壁の劣化を進めてしまいます。
そこで、業者選びはしっかり行いましょう。
まとめ
断熱・遮熱対策をすると夏は気温が上がりすぎず、冬は下がりすぎなくなるので、1年を通して快適な環境を作ることができます。
会社にとっては光熱費が浮くというメリットがありますし、社員にとっては快適に働けるというメリットがあります。
ただし、対策にはコストがかかるため、どの方法を選ぶかを慎重に考えなくてはいけません。
コスト、施工時期、効果などあらゆる面を比較し、納得のいくものを選びましょう。