この記事では次の内容をまとめています。
・よくある雪による被害
・工場や倉庫がすべき雪対策
雪が多い地域に工場や倉庫を持っている、もしくは建設を考えている方が知っておくべきことを全てまとめました。
工場・倉庫のよくある雪による被害7つ
この章では雪が多い地帯に工場や倉庫を持つ企業が知っておくべきよくある雪による被害を解説します。
①建物の一部が崩壊
②除雪作業中の事故
③出入り口が封鎖される
④停電
⑤排水が上手くいかない
⑥従業員が通勤できない
⑦気温が低下する
建物の一部が崩壊
雪が屋根の上に積もり、その重みで崩壊することがあります。
工場や倉庫の屋根は平らなことが多く、特に積もりやすい形状になっています。
崩壊すると場合によっては操業を続けるのが難しくなるでしょう。また、修繕費がかかり、支出が増えてしまいます。
大量に雪が屋根に留まらないようにするための対策が必要です。
除雪作業中の事故
屋根に雪が積もったとき、雪下ろしを行いますが、高いところでの作業ですし、凍って足が滑りやすいので危険が伴います。
実際に屋根の雪下ろし中に転落し、亡くなった例もあります。
大切な従業員が雪下ろしをしなくても良くなるように対応が必要です。
出入り口が封鎖される
雪が降り積もり、出入り口を封鎖してしまうこともあります。
建物内に人が居る場合、出られなくなって帰宅できなくなります。
また、出勤の際に建物内に入れず、業務ができないということも起こります。
どちらの場合でも重大な問題です。
停電
降雪により停電になることがあります。
工場では機械が動かなくなり、生産することができなくなります。
また、倉庫の場合も注文リストをパソコンから取り出すことができなくなったりと、こちらも業務に大きな影響を与えます。
また、雪の日はかなり寒いですが、停電になるとヒーターやストーブなどの暖房機器が使えなくなるので従業員が体調不良を起こすリスクもあります。
排水が上手くいかない
雨が降ると、雨水は雨樋などを伝って排水されます。
しかし、溶けた雪は冷たく、周りの空気も冷えていることから、排水設備の中で水が凍ることがあります。
すると、適切に排水されず、水がその場に留まることになり、やがて雨漏りが発生してしまうこともあります。
従業員が通勤できない
雪が積もって車が通れなくなったり、公共交通機関が止まったりすることで、従業員が通勤できなくなります。
すると、スケジュール通りに業務を進めることができなくなり、納期に間に合わなかったり、配達が遅れたりしてしまいます。
気温が低下する
雪の日は気温が大きく低下します。
工場や倉庫は建物の性質上、外気の影響を受けやすく、室内の気温も下がることが予想されます。
気温が低下すると、従業員は寒さで集中できなくなり、生産性が落ちることが考えられます。
また、体調不良を引き起こす可能性もあります。
そこで、寒い日でも快適に仕事ができるような環境を作ることが欠かせません。
工場・倉庫がすべき雪対策11選
この章では雪に備えて工場や倉庫がすべきことをまとめました。
1.雪の影響を受けにくい土地を選ぶ
2.屋根の角度を急にする
3.雪を落とす塗料を屋根に塗る
4.断熱性の高い設計にする
5.暖房を完備する
6.防寒グッズを準備する
7.除雪道具を用意する
8.製造の無人化を進める
9.産業用蓄電池を導入する
10.業務のオンライン化を進める
11.大雪の際のマニュアルを作っておく
雪の影響を受けにくい土地を選ぶ
雪対策は土地探しの時点から始まります。
雪による被害を防ぐためには雪が積もりにくい立地を選びましょう。
ただし、こうした土地を選んでいても普段はなかなかないような大雪が降ることもあります。
そこで、他の雪対策も用意しておくと安心ですし、いざというときに困らなくて良くなります。
屋根の角度を急にする
工場や倉庫の屋根に大雪が積もるのを防ぐためには雪が溜まりにくいように屋根の角度を急にする方法があります。
白川郷の合掌造りを思い浮かべると分かりやすいと思います。
屋根の角度が急だと、雪が降ってもどんどん下に落ちます。
そのため、雪下ろしの必要がなくなり、従業員の命を守ることもできます。
この対策をするには建設前に建設会社の担当者に要望を伝えておくことが欠かせません。
雪対策に詳しい業者に依頼すると安心ですね。
雪を落とす塗料を屋根に塗る
雪を落とす性能を持った塗料を屋根に塗るという方法があります。
例えば、撥水効果を持ち、雪が降ってもどんどん落ちていき、溜まるのを防げるものがあります。
いろいろな種類があるので、性能、色、耐用年数など様々な条件を比べながら一番良いと思えるものを選びましょう。
塗ってから時間が経つにつれて性能が落ちてしまうので、適切なタイミングで塗り直すことが大切です。
本格的な冬が来る前にメンテナンスを終わらせましょう。
断熱性の高い設計にする
気温の低下により、体調不良や集中力の低下を防ぐためには断熱性の高い工場や倉庫を造りましょう。
断熱性が高ければ雪が降るような寒い日でも外気の影響を受けにくくなります。
断熱性を高めるには、建設時に屋根や外壁に断熱材を入れましょう。
既にある建物に断熱材を入れるには改修工事が必要になるでしょう。
断熱対策をすると、結露が発生しにくくなり、カビやサビを防げるというメリットもあります。
暖房を完備する
雪対策として暖房器具を用意しましょう。
エアコンやストーブで室内を暖めることで快適な環境が広がります。
この設備が整っていれば、雪により帰れない従業員が出ても、会社で暖かく過ごしてもらえます。
泊まることになっても良いように水や食料も準備しておくと安心です。
建物の断熱性が高ければ暖房の効きが良くなり、効率的に建物を暖められます。そのため、光熱費の節約になります。
防寒グッズを準備する
停電の際や従業員が帰宅できなくなった場合に備えて防寒グッズを用意しましょう。
暖房設備が備わっていても、停電してしまうと稼働しません。
例えば、毛布、防寒着、カイロなどがあると安心です。
除雪道具を用意する
除雪道具を用意しておきましょう。
例えば次のようなものがあります。
- スコップ
- 手押し車
- スノーダンプ
- 雪落とし
- 除雪機
- 除雪用手袋
- 除雪シート
- 除雪ほうき
これらの道具を雪が積もっても取り出せるところにしまっておきましょう。
また、いざというときにすぐに使えるように、従業員に使い方を共有しておくことも大事です。
さらに、壊れていないか定期的に点検しておきましょう。
製造の無人化を進める
無人化を進めることは雪対策の1つになります。
なぜなら、製造に人手を必要としなければ、大雪で通勤ができない天気になっても機械が稼働し続け、生産が進むからです。
すると、スケジュール通りに進み、納期に遅れることを防げます。
無人化を進めれば生産効率が上がるというメリットもありますよ。
産業用蓄電池を導入する
産業用蓄電池とは一般住宅以外に設置される蓄電システムのことです。
電気を貯めておけるので、大雪で停電になっても放電して電気を供給します。
つまり、蓄電池があれば機械を稼働させ続けることができて、作業が止まることはありません。
産業用蓄電池のメリット、デメリット、活用法についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
業務のオンライン化を進める
業務をオンライン化しておくと、大雪で出勤できないときでも業務を進めることができます。
例えば、会議をオンライン会議ツールを使って行ったり、遠隔操作を導入したりと様々な方法があります。
ただし、非常時にこうした方法をいきなりとっても慣れていない社員は困惑してしまいます。
そこで、普段からオンライン化を進めておくのがポイントです。
大雪の際のマニュアルを作っておく
大雪でトラブルが発生した際のマニュアルを用意しましょう。
なぜなら、雪によるトラブルは頻発するものではないからです。
マニュアルがなければいざ従業員が帰れなくなったり、出入り口が雪で封鎖されたりしたときにどう対応すればいいか分からず従業員は困惑してしまいます。
そこで、大雪が降った際に考えられるトラブルをリストアップし、その対策をまとめましょう。
マニュアルが完成したら、その存在を従業員に共有しましょう。
まとめ
大雪になると公共交通機関が止まったり、停電したりと、イレギュラーな状況が発生します。
時には命に関わるような事態になることもあるため、大雪の際にスムーズに対応できるよう、工場や倉庫はあらかじめ対策をしておくことが欠かせません。
対策の中には屋根の角度をつける、断熱性を高くするといった、建設時にできる対策もあるので、打ち合わせの段階で雪対策をしたい旨を建設会社に伝えましょう。
1.雪の影響を受けにくい土地を選ぶ
2.屋根の角度を急にする
3.雪を落とす塗料を屋根に塗る
4.断熱性の高い設計にする
5.暖房を完備する
6.防寒グッズを準備する
7.除雪道具を用意する
8.製造の無人化を進める
9.産業用蓄電池を導入する
10.業務のオンライン化を進める
11.大雪の際のマニュアルを作っておく